プリウス「ドアコントロール トランスミッタ モジュールセット!!!」

 





先週の中頃に、車のキーの破損に気づいた。
プリウスのキーは、家やロッカーのような、機械式の鍵ではない。プラスチックの小さな四角い電子錠で、ダッシュボードに差し込んで、電子的認証により運転可能となる。
一般にスマートキーと呼ばれるもの。キーホルダーのようにも見える。
そのスマートキーにあるボタン(ドアロックを操作できる)を覆うゴムが、ぺろりと剥がれてしまったのだ。
完全に壊れてはいないから、注意して使えば不便は無い。でもいずれもっと酷い状態になるだろうし、ポケットの中のものが半分壊れているのはとても気になる。



というわけで、今日が定期点検日だったために、ついでにトヨタに相談してみた。
「全部交換ですね。外装のみ、ゴムのスイッチ部分のみの修理は無理です」と、交換した場合の見積書を作成してくれた。
このスマートキーは、「ドアコントロール トランスミッタ モジュールセット」という部品名らしい。12000円くらい。
それに登録情報を書き入れて使用可能にするのに4000円かかる。技術料という項目もある。
安くはない。街の錠前屋さんに合鍵を作ってもらうのとは違う。
こういう完全な「必要にかられての出費」はつまらない。
服やカバンやケーキならば、それが失敗した買い物であっても、有形無形の何かが残る。車のキーが新品になっても嬉しくない。
新品というのは実はそれだけで十分に価値があるのだが、キーに興味も愛着も無いから、その価値にも有り難みが感じられない。





とりあえず帰宅して、考える。
壊れたのはスイッチを覆うゴムパーツだけ。という事は程度の良い外側だけ移植すれば、自分でも何とかなりそう。
中身は認証機器として替えが効かないが、外だけなら何処かで売っているだろう。
インターネットで検索をしてみた。ヤフーオークションで中古品がいくつか(1000円くらい。ゴム部分がくたびれている様に見える)と、通信販売で新古品(4000円〜)が見つかる。



次に分解方法を探す。手元にあるキーを眺めてみる。
電池交換は簡単にできるが、その先の「外装と基板とを分離」するところで上手くいかない。ネジもロックもツメも隙間も無い。
おそらくプラスチック外装を開けられないように設計されている。壊れた時は丸ごと交換する方針。そのほうが頑丈にできるし、セキュリティの観点からも、あえて分解可能にしておく理由が無い。
でも一応、インターネット検索を駆使して情報を集める。ここで大変に面白くない事態に陥る。面白くないというのは、つまりはノイズが多すぎるのだ。
なぜかわからないが、カーマニアの人達は、嬉々として「スマートキーのボタン電池交換方法」を写真付きでブログやWebサイトに掲載する。そんな方法は車の説明書にも載っているし、キーを眺めればわかるのに。
トヨタのディーラーに頼むと500円もかかる作業が、自分でやれば電池の代金だけで済みます」という「マル得情報」。そしてトヨタの暴利を糾弾する。
結果として、スマートキーを完全に分解する方法が全く見つからない。思わずスマートキーをハンマーで粉々にする奇人のサイトも読んでしまう(まさしく狂人。ネットは広大だ)。
おそらくキーを完全分解して、ヤフオクで入手したものと「ニコイチ」にする人は少ないのだろう。犯罪に関わりそうな技術といった感じもする。



そうして「仕方がない。トヨタのオフィシャルなやり方に従おう。16000円と技術料は避けられぬコストだ」と諦めた時に、ふと「スペアキー」の存在に気がつく。
急いで(急ぐ必要は無いのだが)、「プリウス 第2世代 スマートキー スペア」といったキーワードで検索すると、新車購入時にキーは2個付属していたと判明した。
ならば僕の手元にも、もう1つのキーがある筈だ。覚えていないが、捨てるようなものでもない。




ここで新たな問題が発生する。プリウスは、三重県での一人暮らし時代に購入した。そしてその頃のおおよそ全ての物は、実家の離れ(倉庫)に押し込んである。みっしり詰まっている。
流れにすると、こんな感じ。

  1. 出向により三重県に引っ越し、一人暮らしを開始する。
  2. 一人暮らしが円熟期を迎え、完璧な整理整頓技術を確立。あらゆるものを、然るべき場所に収納した。(この頃にプリウスを購入)
  3. 突然の発病。寝込む(でも眠れないという面倒な状況に陥る)。
  4. 出向解除。前後不覚の状態で、引越し業者と家族の助けを借りてアパートを引き払う。
  5. 家の建て替えの関係で、実家の離れが15畳ほどの倉庫となっていた。必需品以外の全てを倉庫に詰め込んで、とりあえずの実家暮らしを開始。
  6. 実家暮らしに順応。かつて詰め込んだ荷物を忘れたシンプルライフを確立する。(現在)

そんな訳で、人生の一時期のモノのほとんどが、離れには詰め込んである。「みつばちマークの引越し屋」の、同じ寸法と外観のダンボールが大量に積んである。
いつかは整理するか、その荷物をそのまま持って家をでなければいけないなあ、と思いつつも放置している。家電だけは、必要としている人達に譲っている。


暑さを我慢して倉庫に入り「とりあえず自動車関連といえばあの辺りだろう」と目星をつけて探索をした。
荷物を動かして「大切なもの集中管理キャビネット」を見つけ出す。その中の「乗り物」という引き出しの中に、予備のスマートキーを発見した。
こうしてあっけなくスマートキー問題は解決した。今の半壊状態のキーは予備にする。



ついでに色々なものを発掘してきた。新潮文庫のマスコット「YONDA君」の時計や、なぜかまとめ買いしたディック・ブルーナの切手、切れ味の良いハサミなどなど。
倉庫の中には、一人暮らし時代の面白いものが大量に眠っている。学生時代の一人暮らしと違い、金銭的に"ほぼ自由”だった為に、今でも使用に耐える良品が多い。
本当にそろそろ、あの荷物の山は片付けなければいけない。「21世紀初頭:地方在住雑貨好き独身男性のサンプル」というテーマで個展が開けそうな程に、全てが揃っている。状態も良い。
もう少し涼しくなったら、フリーマーケットに出店しようかと、今は考えている。






今はこれを読んでいる。漫画だが「読む」という感じがする。丁寧に描かれた背景と、やや古臭い絵柄の人物が、奇妙な迫力を醸しだしている。

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