暦法とku:nelとコーンブレッド。

 
 

ずいぶん前に気になって、しかし日常生活に支障がない為に放ったままの疑問がいくつかある。
例えば暦のこと。明治時代に新暦に切り替わった事はわかる。なぜその時に、祭りや歳事も新暦の数字に合わせたのか。
元旦やひな祭りや七夕は、それぞれキレイな数字の並びに合わせたい気分があったのかもしれない。その方が簡便だ。
でもイベントの度にニュースでは「本来は旧暦の◯日に行っていたので、この花も(造花ではなく)満開のはずです」と解説する。
天体周期に関するものは実際に合わせているのだから、他のイベントも毎年のはじめに「今年の端午の節句は◯日である」と割り振れば良い気がする。つまり2つの暦を併存させる。
情緒を重んじない(さらに言うと八百万の神を重んじない)僕ですら気になるのだから、祭を司る人達はそれなりにストレスが溜まっているのではないか。神様も戸惑う。商店街のお祭を週末に合わせるのとはわけが違う。
暦を変えるのは権力の専制事項で、当時はリニューアルの気分だったのかもしれない。併存なんて曖昧な対応は望まれていなかったのだと想像する。実際はどうだったのだろうか。




もう一つ、雑誌の発売日について。
どうして雑誌の発売日は、あんなに実際とずれているのだろう。一時期の「ロッキン・オン」は発売日と表紙の日付が同じだった。今は知らない。
こういう物事の事情は、インターネットで調べれば簡単にわかる気がする。しかし今のところ、表紙の日付を何かに役立てる場面が無いので、疑問は疑問のまま、ぽっかりと忘れていく。






ku:nel (クウネル) 2013年 11月号 [雑誌] ku:nel (クウネル) 2013年 09月号 [雑誌]
雑誌といえば、今月号(表紙には11月1日と書かれている)の「妖精を探しに」は、なかなか面白い記事だった。
アイルランド妖精伝承についての写真付きの特集記事。いつもながら写真が綺麗(表紙にもなっている)。
古い口伝の妖精と神話の話(そしてキリスト教に出会った後の話)は、色々な本が出ている。しかしアイルランドの妖精小話をただ文章で読むと、重く暗く理不尽で不可思議で、どっと疲れてしまう。
あの重苦しさと死の近さこそアイルランド的な魅力だとは思うが、暇潰しに読む感じではない。その点、今回の記事は、ku:nel的な軽みが大変に読みやすかった。
上っ面の綺麗な部分を集めて、しかし古き文化に特有の居座りの悪さも文章で伝えようとしている。このバランス感覚が無くなった時、この種の雑誌は価値が半減すると思っている。



そういう点では、先号のku:nelは読んでいて辛かった。
「哲学ある住まい」という表題は格好良い。しかし記事は「素敵なライフスタイル礼賛」といったものが多い。「自然体の生活を貫き通すあまり不自然な人達」がたくさん出てきた。
だいたい僕は「満員電車に揺られている時に天啓を得て、大好きだったクリエイターの仕事を辞めて田舎に移住。そこで超自然的な出来事が発生し、天啓が正しかった事を確認した」みたいな話が苦手なのだ。
そういう事はあるかもしれないが、ごく個人的な(錯覚や思い込みも混ざった)ストーリーであり「だから今が本当の生活です」なんて言われても困ってしまう。
素敵なライフスタイルは僕も大好きだけれど、例えばアメリカ・ポートランドの反ウォルマート的オーガニック生活を描くのならば、それができない同国人の事情も上手い具合に記事に組み込んで欲しい。





ku:nelはずいぶん長く買い続けている。創刊号から買っている。いくつかの連載記事と小説が目的。
明らかに30代後半の独身男性向きではないが、雑誌は慣れると案外楽しめる。そして他の雑誌に移りづらい。手のかからない料理の記事もあるし、それなりに実用的ではある。
特に熱い思いは無いけれど、昔から何かしらの雑誌を定期的に買うことにしている。音楽雑誌だった事もあるし、アウトドアスポーツの雑誌だった時もある。特に趣味とは結びついていない事のほうが多い。
とはいえ最近はku:nelも惰性で買っている感が強いため、そろそろ雑誌購入自体を生活から切り離そうかとも考えている。案外、無くても構わない気がする。


コーンブレッドが食べたくて、思わず「暮しの手帖」を買ってしまった。
あまり街では売っていないし、誰かに言っても「コーンブレッド?あれ別に美味しくないよねえ。ぼそぼそして」と相手にしてもらえない。僕はあのぼそぼそが好きなのだ。
コーングリッツも1kg購入してきた。なんとなく、1回焼いたらもう満足、となりそうだが、しかし作る。一生に一度でいいから、お腹いっぱい食べてみたいのだ。

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