村おこしの祭りの不適切と、図書館の新刊。

 


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知人に誘われて、「道の駅」みたいな公共施設で開催中のお祭りに顔を出してきた。上の写真の蜘蛛に噛まれた。ちょっと痛い。
素朴な和菓子(草餅や団子)と、夕食用の野菜を購入。トマトが安かった。
知人が参加する予定だった「地場産品(野菜)を若い女性に料理させて、彼女達の料理スキルの低さと非常識を笑うコンテスト」は、1日目に批判が続出して中止になっていた。
中止は当然だと思う。悪趣味で、農産物の無駄遣いという点が指摘されたと聞いた。
しかも田舎の祭りに付き合ってくれる女性自体が少なく、その少ない参加者は(農家の嫁であり)料理の基本が身についていた。つまり実行委員会の目論見である「ギャル」が不足しているのだ。
こんなものを連休の3日間も行う予定だったという。想像力不足というか、酔っ払って企画しちゃったのかとさえ思う。


こういう「料理ができない若者をオモチャにする」という企画は、僕が学生の頃(ずいぶん昔だ)からTV番組でもよく扱っていた。
なぜか女性ばかりをターゲットにする。そして無難に料理を作れる人は取り上げない。
僕もいちど、横浜の街を歩いている時に、TV局の人から声をかけられた。僕ではなくて隣にいた、当時交際していた女性に「鯖の味噌煮を作って欲しい」という依頼。
その時は、料理が中盤に差し掛かったところで「あっ。もういいです」と止められた。
後は火を通して仕上げるだけ、という状況で「この人は無難に作っている。テレビ向きでは無い」と判定されたのだと思う。
ボールペンと番組名の描かれた紙うちわを貰った。後日その番組を見たけれど、作れなかった7割の女性だけが取り上げられていた。調査人数は公表されなかった。


ちらっと検索してみたところ、2013年の現在でも、このタイプの企画は、ワイドショーの1コーナーとして笑いを提供しているという。
そして今でも、どういう訳か鯖の味噌煮が題材になっている。お年寄りにグリーンスムージーを作らせるような方向の悪趣味は無さそう。



僕は思うのだが、こういう風に若者を取り上げるやり方は、特に「女性と料理」の関係を強調して笑いものにする企画は、社会論理として「常識として避けておこう」となって然るべきではないか。
各人が「若い女性」に求めるものが様々であっても、失敗をして皆で笑って、そして揶揄するなんて、悪趣味の限りだと思う。男女平等参画社会という建前も守れないのか。
ポリティカリー・コレクトとか堅苦しい事は抜きとしても、無自覚に続けていたら、いつまで経ってもTVの真似をする人は出てくる。そうでなくても、田舎のお年寄りはTV番組が大好きなのだ。






ペンギン・ペディア 宇宙探査機 ルナ1号からはやぶさ2まで50年間の探査史 (ポピュラーサイエンス)

本を返却しに、市立図書館へ行ってきた。
掲示板に「今月の新刊(利用者リクエスト)」という紙がある。利用者の要望に応えて購入した本のリストだ。
これがなかなか凄い。「500円でわかる!アメーバピグの本」とか「3日でマスター アフィリエイト完全攻略」といった本ばかり仕入れている。
「履くだけで楽々痩せる。足の裏ダイエット(特製インソール付き)」は、残念ながら付録のインソールは取り出せない。


図書館のコストパフォーマンスについて、ふと考えこんでしまう。
パフォーマンスの面、つまり良い本と悪い本を考えるときりが無いので(でも言いたい事は山ほどある)、コスト中心の観点から考える。
1000円もしない、そして半年後には時代遅れになるようなマニュアル本は、図書館の蔵書としては大変にコストがかかるのではないだろうか。誰が1年後に「XPERIA Z 便利ワザ100選」を読むのだろう。
いつもこの「今月の新刊(利用者リクエスト)」を見て想像するのだけれど、この種のリクエストをする人は「自分では全く本を買う気がない」タイプだと思う。
こういう安い本を買えない人は少ないと思う。本当に買えないのなら、それは社会保障の仕事だろう。要は「興味があるなら自分で買えばいいじゃん」と言いたい。
皆で使いまわす公共施設なのだから、例えば「評価が高いけれどオールカラーで大判だから高くてちょっと手が出ない良い本」を仕入れたほうが、長い目で見たら利口だろう。
ではどの価格帯からが優先して購入すべきか、安くても良い本はあるのではないか、と言い出すとこれもまたきりが無いのだけれど。
とりあえず「すぐに陳腐化する本」は、多少の読書体験がある人なら嗅ぎ分けられると思っている。最低限の仕事として、その選別眼を図書館には求めたい。



利用者の求めに応えて大量にベストセラー本を買うのも、本当のところは止めてほしい。あれは1年経てば紙ゴミになる(保護フィルムと電子タグのせいで古本屋にも売れない)。
ベストセラーを今すぐ読みたい、なんてニーズに応える前に、仕入れなければいけない本は沢山ある。
僕のわがままを混ぜ込んだ主張と自覚しつつ言いたい。図書館が「書物を好きな人の施設」であるのか「無料の貸本屋」なのか、この辺りに1つの分水嶺があるのではないか。
この次元の市立図書館に限っていえば、5年前はもう少しまともだった。色々なジャンルの「この年だったらこの本がお勧め」とされる本がきちんと入荷していた。
司書が変わったのだろうか。「他の図書館には収蔵されにくい流行と時代風俗を保存する」といった役目を担っている訳でもないと思う。



ちなみに、僕が先日購入した至高のペンギン本「ペンギンペディア」も、今とても欲しい「宇宙探査機 ルナ1号からはやぶさ2まで50年間の探査史」も、リクエストしたが反応が無い。
4000円前後という悩ましい価格ながら、普遍性という点ではアメーバピグのマニュアル本と同等以上、そして5年間は古びないと思っているのだが。
「ペンギンペディア」は買ってしまったが、本の価格が4000円というのは僕の中では躊躇する価格だ。「宇宙探査機」は、図書館向きだと思う。写真と絵がとても美しい。

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