ちらし寿司のおにぎりと、ハワイアンパンケーキ。

 
あまり知られていないことだが、僕はパンケーキが好きだ。
だから昨年からのパンケーキ・ブームには期待をしていた。薄くてぺらぺらしたパンケーキに添えられた大量の生クリームと鮮やかなフルーツ。なかなか日本では食べられない。
こういう流行は、静岡県には6ヶ月から8ヶ月遅れてやってくる。そして気がつくと、あっという間に廃れる。数年前のドーナツ・ムーブメントが去った後は寂しかった。
しかし行列には加わらない。特にパンケーキというものは、行列が最も似合わないタイプの食品だと思っている。真夏に何時間も並ぶなんて論外。わざわざ都会まで行って食べるのも相応しくない。
行列がほとんど発生しない事は、静岡県中部の美点だと思う。人口は少なく、若者はさらに少なく、そして「がんばって流行に乗ろう」という気概に欠ける。だから少し待てば大抵のお店は並ばずに入れる。
涼しくなってきた昨今こそ、まさにパンケーキを静岡で食べる好機である。



今日は友人夫婦の姪の家に招かれていた。
姪っ子さんに、少し勉強を教えた。
ご両親と雑談(全国統一小学生テストに対する県知事の行動について。体罰問題。東京オリンピック)をする。教育者の家庭なので妙に緊張する。しかし利口である事に照れや反感が無い人達なので、話しやすい。
それから今日の訪問の主目的である、パソコン3台とタブレットの設定を行う。家族それぞれにアカウントを与え、子供用には機能制限をして、共用と個人で使える領域を設定する。
ほぼ、昨晩に想定した通りに事は進んだ。家族でパソコンを使い分ける為のユーティリティソフトがあって、なかなか便利だった。
全ての作業が完了したら、設定項目をいくつかのカードに書き入れて、それは各々の秘密の場所に隠してもらう。
もちろんマスターキーとなる設定と、基本的なネットワーク設定も、いざという時に使えるようにカードにする。
はじめてまともにWindows8を使った。雑誌やインターネットで知った知識だけで迷いなく使えたから、なかなか上出来なインターフェイスだと思う。
WindowsXP以降は他人のパソコンでしか知らないけれど、どんどん便利になっている。Windowsシリーズの常として、設定項目の名前が一定しないのは困りものだが。



作業の合間にお昼ごはんをいただく。
ちらし寿司(関西風の錦糸卵やレンコンが入った品)で作ったおにぎりを食べた。具には鮭のフレークやイクラが入っている。小さめの俵型で、おぼろ昆布が巻かれている。
ちらし寿司のおにぎりなんて初めて食べた。上手い工夫だと思う。とても食べやすいし、取り分けたりする手間がかからない。華やかな感じもする。
澄まし汁と、ちらし寿司のおにぎりと、蒸し野菜。贅沢ではないけれど、上品で気がきいていると思う。




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そしてパンケーキに話は戻る。
この姪っ子さんの読んでいるファッション誌に、原宿のパンケーキ店が載っていて「原宿まで行ってパンケーキを食べたい」と言う。
「原宿は無理だから静岡に行こう」と、街へ連れ出した。静岡の街で買いたい物もあった。
今日行ったのは、「電ビル」の2階にあるハワイアンカフェ「アロハテーブル」。
いつ行っても閑散としている電ビル(旧電電ビル)は、数度のリニューアルとリフォームを繰り返しているが、今日も人が少なかった。街の動線のすぐ横にあるエアポケットのような垢抜けないビルディング。
繁華街にあるパンケーキカフェは数十分待ちだったけれど、さすがに電ビルなので、このお店は並ばずに入れた(しかしほぼ満席)。



僕はマンゴー・パンケーキとコーヒーを、姪っ子さんはトロピカルフルーツのパンケーキとマンゴージュースを注文。
山盛りの生クリームはあっさりしている。豆乳が混ぜられているらしい。マンゴーソースは酸味が強くて美味しい。パンケーキは3枚。ぺろりと食べられる。
トロピカルフルーツのほうは、フルーツ部分が変わっただけ。バナナやパイナップルやマンゴーが添えられている。



お客さんは、僕以外は全員が女性だった。カップルすらいない。若くて元気な人達ばかり。賑やかに歓談し、スマホで写真を撮り、お化粧をしている。
「平気?」と姪っ子さんに心配される。「ぜんぜんだいじょうぶ」と答える。完全に平気ではないが、緊張まではしない。
日常的にケーキ店やカフェに出入りしている経験からすると、この種の店では女性はそれほど他人を気にしない。男ばかりの店に行くと、露骨にチェックされる。だからぜんぜんだいじょうぶ。
「僕達は親子だ。父と娘がパンケーキを食べているだけなんだ」と言い聞かせる。「父と娘には見えないと思う」と異議を唱えられる。誘拐犯に見えなければ何だっていい。



メニューで気になっていた「アサイーベリー何とか」というデザートを2人で半分ずつ食べる。美味しかったが、「健康な朝食」といった雰囲気の食べ物だった。
それから「パンケーキ・行列不要論」の話を少しする。「それは美学か?」と問われる。彼女の同級生、特に男子が「美学」に拘っているという。まさに中二病だ。
美学というのは気恥ずかしいから「行動規範である」と回答する。「なんだそりゃ」という反応が返ってくる。
食べ物(特に甘い食べ物)にはストーリーがあり、それを無視しては食事の楽しみは半減する、と説明した。
要は「紳士淑女であれ」という事なのだ。「ノルウェイの森」にあるように、「やりたいことをするのではなく、やるべきことをする」のが紳士だ。紳士で無い甘党なんて、ただの砂糖中毒患者だ。
「私は食べたい時に食べたいものを食べたいだけ欲しい」と彼女は言う。健康な思考だと思う。僕も中学生だったら、パンケーキは3皿食べたと思う。追加で生クリーム(200円)も加えただろう。
でも、もちろん当時の僕にはそんなお金も、連れて行ってくれる大人もいなかった。知識も無かったから、興味も無かった。
友人の姪という奇妙な間柄だけれど、これも縁だ。せめて先達として、本と映画とおやつに関しては、色々な経験を積ませてあげたいと思う。






街に出て、書店と文房具店に行き、買い物をする。布屋と雑貨屋にも寄った。
Hug Coffeeでペッパーチャイを飲みながら(姪っ子さんはスムージーを飲む)、人生相談を受ける。小さな人間関係の問題だが、それなりに悩んでいる様子。
問題を切り分け、分析し、未来予測する。メモ帳にベン図を書く。そして方針を立てる。
僕はどちらかというと相談を受けるほうだと思う。女性からの相談も多い。しかし良い相談相手とは言えない。謙遜ではなく、いちばん大切な部分が欠けている。
本来は「絶対大丈夫。がんばれ」と背中を叩くところで、「たぶん大丈夫」としか言えない。無条件の「大丈夫」が保証できずに、過剰な、あるいは十分な「大丈夫」に留まる。
これは大きな違いだ。未来のチューリング・テストで引っかかるかもしれない。
しかし残念ながら、相談を受けた時は分析に夢中で、後になって「ここは絶対大丈夫と言っておくべきだった」と反省する。いつも後になって気付く。








漫画を購入。絵が好きで買っているシリーズ。薄い本なのであっという間に読み終えてしまうのが悲しい。
リューシカ・リューシカ (7) (ガンガンコミックスONLINE)


ku:nelの最新号も買った。前の号はまだほとんど読んでいない。それで不都合が無いのだから、そろそろ止め時なのかもしれないが、たぶん次号も買ってしまうだろう。
ku:nel (クウネル) 2013年 11月号 [雑誌]

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