黒糖生姜かき氷(梅酒寒天入り)

 

家の近所の公園に、気温を表示する電光掲示板が建てられた。昨日までは試運転で99℃。
今朝、わりと早い時刻に行ってみたら、既に35℃を表示していた。
すっかり嫌になって、ほとんど自室にこもって過ごす。




黒糖生姜かき氷。梅酒寒天入り。
午後に、静岡市まで行く。
町外れのオーガニックカフェで、夏の間の限定メニューのかき氷を食べる。「黒糖生姜味」にした。
粗めの氷に、黒砂糖で作ったジンジャーシロップがかかっている。上には煮た生姜が数片。赤エンドウ豆もたくさん。
中には梅酒で作った寒天も隠れていた。
さっぱりして、なかなか美味しい。美味しいのだが、へんな発酵臭がして、なんとなくカブトムシなどを誘引しそうな風味。
かき氷に関しては、この種のオーガニックな感じは求めていない。食べながら気づいた。
他所では食べられない、珍しい味だった。




かき氷を食べている時に、隣の席の女性(UAさんみたいな雰囲気)に声をかけられた。
「これから、布ナプキンについてお話をします」と言う。
そして色々な話(原発事故から薬害まで)を聞いた。手摺りのパンフレットも貰った。
大地に足をつけ、太陽に手をかざし、笑顔で「ほんとうの食べ物」を口にすれば幸せになれるという。それと現代人は毒に侵されていて、放射線は微量でも浴びてはいけない。
ドラッグストアで売られている生理用品は、大企業の利潤追求のための「偽物」であって、その間違った原材料が女性の身体を蝕んでいるという。どんどん怖い方向に話が続いていく。
そして(突然)意見を求められる。
「衛生用品なのだから、安全性を考えるのならば、管理された工場で作られた検証済みのものを使い捨てにするのがいちばん。「使い捨て」は、命を守る分野での大発明である。
使用感や素材へのこだわりがあるのならば、十分に注意して自作したものを適切に前処理(除菌等)し、使い捨てるのがよろしいのではないか」
と言ってみた。
「うーん70点」と笑われてしまった。30点の減点部分は「女性の女性性の部分だからねえ」と言う。
そうしている間にもかき氷は溶けていく。
なんだか納得がいかないというか、宗教の勧誘みたいな感じだが、しかしまあ他人の活動である。似非科学としても、さほど害は無い種類ではないだろうか。
そして試供品をひとつ貰った。試供品は「パートナーやご家族にどうぞ」とのこと。
この貰った試供品はどうすれば良いのか。
「赤の他人がどういう環境で作ったのか判然としない品を親しい相手に渡すわけにはいかない」と思うのだが、気分を害されるのも嫌なので、いちおう受け取っておいた。
そして女性は、自分の読書へ戻っていった。




数年前に、東京で街をぶらぶらして疲れ果てて入った喫茶店が、こういった人達の溜まり場だった。
僕はただ、コーヒーと焼き菓子が食べたかっただけなのに、ずいぶん熱心に自然についての話(しかし科学的とはいえない)をされてしまった。
「ここはお店というよりはコミュニティだからね」と店主らしき人は言う。そういう事は外に書いておいて欲しかった。看板にはアップルパイの事しか書かれていなかった。
そして小さな蜜蝋キャンドルと、ミニコミ誌を貰って店を出た。休憩としては質の良いものではなかった。




スローフードやオーガニックを名乗るカフェや喫茶店の多くは、わりと食べ物は美味しい。それなりに「気を遣っている」と思う。
しかし下地になる知識の部分で、決定的に間違えてしまっているところが多いのも確かだ。
さらに、こちらは飲食のために来店したのに、様々な交流を試みてくるのが、ちょっと苦手。
「ひとりで静かにおやつを食べたいです」というカードを首から下げていたい、そんな気分になる。かき氷やコーヒーのような、長く放置できない品の時は特に。


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