コーヒーショップとファンシーショップ

 
 
ほぼ暇つぶしの目的で、静岡へ行く。
街の東側をぐるっと自転車で走る。
折り畳み自転車に乗って、カメラを持って、裏通りを通っても、それほど面白い風景には出会えない。雑誌「女子カメラ」のようにはいかない。
今日は猫すらいなかった。





書店でぼんやり新刊の棚を眺めていたところ、友達夫婦とその姪に声をかけられた。
一応、全員と面識がある。前にスマートフォンやパソコンのセットアップを手伝ったことがあるのだ。食事や買い物もしたことがある。
彼らのように休日を一緒に過ごす親戚づきあいというのは、僕にとってはとても珍しく感じる。自分には、そういう親類はいない。友人の奥さんと姪っ子さんは、姉妹のように仲が良い。
姪っ子さんは、中学生。
反抗期なのか疲れているのか、不機嫌そうに見える。しかし僕は親戚でも友達でもないので、いちおう愛想よくしてくれる。
でも時折、ぴりっとした緊迫感を感じる。何度か「今の言い方は怒らせてしまったかもしれない」と反省する場面があった。とはいえ、利発そうで、きちんと快活な人である。





DSC00526.JPG
友人夫婦が1時間ほど用事がある(旅行会社で打ち合わせ)というので、それまで、この姪と過ごすことになった。
とりあえず、僕がコーヒーを飲みたかったので、「Sunflower Coffee」に行く。
僕はアメリカンコーヒー(M)を、彼女はスムージーを飲む。ケーキの類は売り切れだった。
ぽつぽつと話をする。言っていることの約3割はわからないが、推測を駆使して若者の話題についていく。
話しながら、自分の中学時代の事を思い出す。すっかり忘れてしまったけれど、彼女の語る「現代の中学生」よりも地味だった事は確かだ。
「おじさんは、中学生の頃に戻りたいか」と聞かれた。
「今の記憶を持って戻れなければ効果的なやり直しも出来ないから無意味だし、逆に大人の記憶で中学時代(あの丸刈り強制時代)に行ったら発狂するのではないか」と答えた。
今の記憶を持って、現代の(ずいぶんカラフルに見える)中学生生活を送れたら、そこそこ面白いかもしれない。おっさんくさい中学生だけれど。




TUGUMI(つぐみ) (中公文庫)
本の話になった。
「大人びた同級生が『よしもとばなな』を読んでいる。興味はあるが、なかなか自分で買うところまでいかない(お小遣いも足りない)」と言う。
そこで、書店に行き、ちょうど夏のフェアで積まれていた「つぐみ」を買い与えた。
気に入ったら、あとは図書館で借りればいいと思う。
「つぐみ」は良い本だと思うので、気に入ってくれたら嬉しい。正直なところ、中学生が「つぐみ」を読んでどんな感想を持つのかは、全くわからないのだけれど。
なんにせよ、他人に本を勧めることは、難しいがとても楽しいことだ。僕の趣味といってもいい。



おいしさの秘密がわかる スイーツ断面図鑑
ついでに、たまたまかばんに入っていた「スイーツ断面図鑑」も贈呈する。ちょうど読み終えたところ。
この本もとても素晴らしい。
家庭科部所属ということで、お菓子の本は喜んでくれた。
「かばんからお菓子の本が出てくる成人男子は珍しいのではないか」という意味のことを問われる。
「そんな事はない、世界は多様性に満ちている」と回答した。「でも隠していたほうがいいよ」と言われた。







友人夫婦を待ちながら、雑貨店などをぶらぶらする。
かつてファンシーショップと呼ばれていた(今は何と呼ぶのだろうか?)、サンリオのキャラクターグッズや安いアクセサリーや文房具を売っているお店にも行く。
僕は画鋲(魚の形をしている)を買った。彼女は小さなシール等を購入。
安っぽくて、ごちゃごちゃしていて、うるさい店内。人もたくさんいる。
子供の頃はこういうお店は苦手だった。今は平気。「僕は付き添いです」という顔をしていれば、子供達は僕なんか無視してくれる。彼らは彼らで忙しいように見える。




用事を済ませた友人夫婦に再会し、少し立ち話をする。
コーヒーショップのお礼を言われた。「良い店を知っている」と。それから歳を聞かれた。
SNSの「LINE」への加入を勧められたが、僕はLINEが苦手なので(アプリをインストールしたが、インターフェイスを眺めただけで止めた)これは辞退する。
そしてメールアドレスを交換し、別れる。



こういう、「ほぼ他人」といった間柄の人と短い時間を過ごすのは悪くない。退屈しない。立場や年齢が違えば違うほど面白い。
緊張感と気楽さが、性に合っているのだと思う。
昔は苦手というか、かなり疲れていた。
滅多にない機会だが、それなりに「上手く振舞えている」と思う。






ヴィンランド・サガ(13) (アフタヌーンKC)

t_ka:diaryは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。