どこでも横になる人達

 
大企業の製薬工場が今の勤め先。
清潔で設備が整っていて、福利厚生もしっかりしていて、働いている人達も大人しいというか、行儀良い。
大規模な研究所が併設されているせいか、知的な雰囲気も漂う。



でも今日行った部署の人達だけは、ものすごくガラが悪い。
女性ばかりの職場。
平気で下ねたを言うし(すごく居づらい)、下ねたを言わない時は他人の悪口で笑っている。
作業着(クリーンルーム用無塵衣)を着崩し、靴の踵は踏み潰す。普通に身支度するより面倒だと思うが、とにかく着崩す。
いつ見ても、社販のカタログを囲んで検討している人達もいる。朝も昼休みも、たまに残業時間にも、お取り寄せグルメについて話し、電卓を叩いている。
この「社販検討チーム」は、地元の手に入りづらい銘菓などについて、皆の注文を取りまとめてまとめ買いなどもしている。彼女らの本当の仕事が何かは、まだわからない。
椅子があれば浅く浅く座り、足を投げ出す。全体に口が悪い。「北斗の拳」に出てきた、モヒカン刈りの部族を連想させる。
あまりに荒んだ雰囲気で、総務課の若い人等は、この部署には行きたがらない。だから僕達が、書類をまとめて届ける。
「仕事を共にするうちに仲良くなり、実は意外と親切で心の温かな人達とわかりました。人を見かけで判断してはいけないな」という事も全然ない。
派遣社員の事を「おい派遣!」と呼んだりする。怖い人達。



しかしこの部署に行って働いていると、後で課長が甘いお菓子をくれたりする。今日は落雁を貰った。
「あんなところに配置して、悪かったね」と、労いの言葉もかけてくれる。「明日は別の部署だからね」と言う。
いったい、どういう部署なのだろうと気になってしまう。こんな傍若無人なメンバーで医薬品が作れるのだろうかと不思議に思うが、きちんと製造できているのだから凄い。
世の中には、色々な職場がある。





それはそうと、この怖い部署に限らず、工場全体で共通しているのが、みんな何処でも寝てしまうこと。
目を使う仕事が多いせいか、あるいは単に寝不足なのか、ちょっとした休憩時間になると、みんな伏せって寝てしまう。
椅子を2つ並べて横になる人も少なくない。
床に作業用のビニールフィルムを敷いて(あるいは何も敷かずに)、寝てしまう人だっている。
一般家庭や食品工場の何倍もクリーンな環境とはいえ、これはちょっと驚く。初めて見た時は、人を呼ぼうかと思った。
研究所に行くと、廊下の長椅子で白衣の人間がごろごろ寝ている。
見ていると、寝ているのは女性だけ。男性は、椅子に座って目を閉じて休む程度。
今まで、仮眠室のある工場(どうしても眠い時は1日に15分だけ任意の時間に眠る権利がある)や、やけに喫煙所が充実した工場(空気の処理に莫大な費用がかかっていた)で働いた経験はある。
しかし、こういう睡眠習慣が当たり前のところは初めて。
本当に、世の中には色々な職場がある。










今日買った本。映画評の2作目。1作目がすごく良かったから期待している。

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