半年くらい前に虫刺されを診てもらった皮膚科の先生が、ナチスドイツ&ヒトラー好きだった。
待合室にはそういう本が沢山あった。別にネオナチとかそういう思想じゃなくて、ただミリタリーマニアのようにあの頃のドイツを愛でているのだと思う。
その病院のトイレに貼ってあったのが「アイアン・スカイ」のポスター。変な病院だ。
それからずっと頭の隅にあって、映画館で観たいと思っていた。予告編も素晴らしい。
「月の裏側にナチスドイツの秘密基地がある」や「ナチスは空飛ぶ円盤を開発していた」といった与太話から膨らませて作ったようなB級映画。
ものすごく馬鹿馬鹿しいお話なのだが、いちいち風刺が効いていて、特撮とCGも手が込んでいて、予想以上に面白かった。
愛すべき奇想天外なB級映画。
北朝鮮ネタや、「ヒトラー 最後の12日間」の「総統閣下はお怒りのようです」のパロディもあった。
ロシアの宇宙船がミールを繋げただけだったのも楽しい。
こういう映画には珍しく、変な日本人が出てこなかったのは、最近の日本は影が薄いからか。
映画に満足して、その後にちょっと用事を片付けた後に、「マリアサンク」でお茶を飲んだ。
洋梨とスイートポテトという珍しい組み合わせのタルト。秋らしいといえば、確かにそうだ。
さつまいもが餡のようで、ちょっと和菓子を想像した。とても美味しい。
夏場のケーキも好きだけれども、今の季節から春までは、こんがり焼けて表面がてかてかしたパイやタルトが増えるのが楽しみ。
帰宅したら、親戚のおばさんが来ていた。
映画のあらすじを聞かれたので「月に潜伏していたナチスの人達がUFOに乗って攻めてくる」というような説明をしたところ、なんともいえない表情をされた。
「難しいのねえ」などと言われた。
映画は面白かったし、天気は良くて自転車は快調で、ケーキだって美味しくて、おまけにおばさんに出町柳の「ふたば」の豆大福を貰ったので、今日は良い日だったといえる。
何か大きなこと(良くないこと)を忘れている気がするが、すっかり忘れてしまった。
静岡市の図書館に、好きなSF作家の作品がいくつかあって嬉しい。
「ジョン平とぼくと」シリーズは、ライトノベルだけれど、どちらかといえばジュブナイル寄りの、抑制の効いた文章の、良い小説だと思う。
「魔法がある世界における科学とはどのようなものか?」が丁寧に描かれている。中高生くらいの、いろんな報われない感情のもやもやが感じられて、今でもたまに読み返す。