市内でも山のほう、あまり行かない遠くの山里まで、かき氷を食べに行った。
時間はお昼ごはんの頃。かき氷では食事にならないと思ったけれど、甘いものは好きだから気にしない。
たまに噂で聞くだけの、目立たないお店。夏の間だけ開いていて、地元で穫れた苺を使ったかき氷が特色。
インターネットで調べても情報が少ない。たぶんこの辺だろうと目星をつけて行った。
ちょっと苦労して店を見つける。瀬戸ノ谷の郵便局や、雨量観測所が近くにある。”中山"という地名だと思う。バス停もあった。
古い、昔ながらのかき氷屋さん。厨房の奥からTVの音が聞こえる。とても静か。
声をかけたら、おばあさんが出てきた。
本当は苺(シロップではなくて果実を使ったもの)だけが良かったが、壁のメニューによれば「苺+練乳+小豆」が一番近いらしい。「イチゴ(300円)」では、赤いシロップのものになる。
というわけで「苺練乳小豆」を注文した。
苺は火が通してあった。ジャムを作る途中の、色が抜けた状態に近い。この辺を鮮やかに仕上げない、あるいは生っぽくしないのが、お年寄りのお店らしいと思う。
なかなか美味しい。上半分が苺味で、下は甘さ控えめの小豆餡の味が楽しめる。全体に練乳が染み渡っている。
好みで言えば、街で売られているような、若い人が工夫して作る、「生の苺」やフルーツソースを使ったかき氷のほうが美味しい。
しかし真夏の昼間に、がらんとしたテーブルと椅子だけの駄菓子屋のような不思議なお店でもそもそと食べるかき氷は、それはそれでとても良い。
量も丁度良かったし、器やスプーンが昭和っぽい古さだったのも気に入った。
「はちみつ」という気になる味もあった。また行きたい。