人生で二番目か三番目に苦手なこと


おおむね平穏な一日だった。
家の手伝いをして、ジムと書店に行った。


帰りにコンビニエンスストアで飲み物を買った。
駐車場から車を出したところで、突然、若い男の子が「おらてめえ」とか言いながら、ガラスをばんばん叩いてきた。そして行く手を遮る。
怖くなって、咄嗟に集中ドアロックボタンを押した。ちょっとガラの悪い、不良っぽい若者。仲間などはいない感じ。
離れた隅の駐車区画に停めていたので、他の車に擦ったとか、そういう事は無いと思う。
なんで彼が怒るのか、全然わからない。でもとにかく執拗に「おいこらー」とか怒鳴る。最後には「ナンバー覚えたからな!」と言う。
こういう、不条理感が漂う暴力的な状況は、ものすごく苦手。ただでさえ、大声で怒鳴られるだけで萎縮してしまうのだ(他人が怒鳴られるのを見るのも駄目)。
歳をとっても、苦手なのは治らない。論理が通じない暴力的な物事が、ある限度を超えると、どうしようもなくなってしまう。
ある種のパニックになってしまった。轢かないようにだけ気をつけて、相手をせずに逃げてきた。
5分未満の出来事だった。



今でも思い出すと、ちょっと怖い。胃が縮む感覚がある。
日常の生活圏にあるコンビニなので、また会ったら嫌だ。何しろ必死だったから、相手の顔も覚えていない。
帰宅してすぐに、「ナンバープレートを覚えて、それを元に住所等を特定することは可能か?」を調べた(警察以外は不可能らしい。良かった)。家族にも言ったし、Twitterにもつぶやいた。とにかく何かしないと落ち着かない。



晩ご飯(鶏団子鍋)を食べて、少し落ち着いて考えてみたら、別にそれほど恐れることでもなくて、きちんと会話をすれば後味の悪い思いをしなかったようにも思える。
相手だって、逃げられたら気分が悪いだろう。
自分に落ち度がない(と自負している)のだから、正々堂々と対峙するのが本来のやり方なのだろう。もしかしたら胸ぐらを掴まれたりするかもしれないけれども、そんなに酷いことにはならないと思う。
しかし繰り返しになるが、本当にこの手の状況になると、どうしようもないのだ。よく、特定の生物に対して生理的に受け付けない人がいるが、それと似ているかもしれない。




海外の治安の悪い地域を歩いた時も、仕事でミスをして責められた際も、こんな風にはならなかった。大学時代に(例えばサークルの運営方針等で)友人と喧嘩腰になっても、頭のどこかはきちんと働いていた。どんな怖い映画も、恐ろしい災害報道も、こういう精神の乱れは引き起こさない。
自分の精神の、脆い所だと思う。
これで、例えば車のナンバーと車種がネットで流出したら(そういうのも苦手)、実害は無くとも胃潰瘍になってしまいそうだ。






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