にわとりを見た

土曜日なのに仕事。しかも普段よりも早朝の出勤。
車でも10分と少しの通勤路だが、自転車を使うともっと近道ができる。
貨物線路と運河と廃線、そして歩道が複雑に組み合わさった土地を通るので、それらを上手く繋げば国道を渡ったり踏み切りや橋のせいで遠回りしなくても済むのだ。

今朝は、先日までに発見した様々なルートから、最短距離かつ自動車の少ない道を導き出して試してみた。
運河の脇の細い道から高架下をくぐり、川の堤防沿いに進む。
途中で廃線寸前の貨物線路に入り、工場と小学校の間の歩道に出たら工事車両用のトンネルを潜って職場の前の道に出る。
すぐ近くの車道は渋滞気味なのに、この道は誰もすれ違わない。
特に土曜日の朝は静かで、あっという間に職場まで辿り着く。
お世辞にも綺麗な道とは言えないけれども、桜だって菜の花だって咲いているし、野良猫の溜まり場もある。


運河の脇を走っている時に、珍しいものを見た。
にわとりが4羽、草地に丸まっていた。
雌鳥だと思うが、体が大きくて、羽もばさばさに荒れていて、とても迫力があった。

一昨年頃に、この近所にホームレスのおじいさんが住んでいて、鶏を飼っていた。
おじいさんは家族のところに戻ったらしいので、飼われていた鶏の生き残りか子孫だと思う。
もしかすると、小学校から逃げ出したものかもしれない。

運河と線路と廃水貯めの間にある三角形の空き地で、どれだけ生きていけるのだろうか。
猫も犬も来ないような土地なので、冬さえ越せれば大丈夫なのかもしれない。
そして、この辺りの草地は、工場を結ぶ配管や用水路のせいで、真冬でも氷が張らない程度に暖かい場所が点在しているので(子供の“ひみつきち”になっていたりする)、鶏が越冬することだって考えられなくもない。

しかし驚いた。
通勤中でなかったら、もう少し観察していたと思う。

工場の廃熱と、
放置された工作機器と、
日当たりの良い線路脇の土手。
そんな環境に適応して、世代を重ねている鶏達。
想像が膨らむ、朝の出会いだった。

 

 

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