先程、玄関先に。

帰宅して、夕食を済ませて、本を読みながらうとうとしていたら、玄関のベルが鳴った。
かなり遅い時刻だったし、宅配便が届く予定も無い。
昨年に、酔っ払った別の部屋の住人が騒いだこともあったので、用心してインターホンで応対した。

 

酔っ払いでは無かったが、言っていることがよく判らなかった。
相手は「お届け物に来ました」としか言わない。
部屋番号は合っているのだが、名前は違う。表札を見れば一目瞭然の筈だが、どうしてもこの部屋に“お届け物”を届けたいらしく、間違いと言っても帰ってくれない。所属も言わない。

相手が何処かに携帯で連絡を取ると言うので、待っている間にこっそりと覗き穴から相手を観察する。
ドアの外に立っていたのは、何だか貧相な感じのおじさんと若い女性だった。
おじさんは、汚れた変な模様の上着を着た、少しチンピラっぽい(でも貧乏そうな)痩せた人だった。
女性の方は、駅前で水商売の勧誘をしている感じの派手な服を着ている。
組み合わせが妙なので、少し怖くなった。

しばらくしたら、急に愛想良く「ただの部屋番号違いでした」との返答が来た。
どうやら、部屋番号のアルファベット部分を聞き違えたらしい。

こっそりドアを開けてみると、2つ隣の部屋の前で、おじさんが(ずいぶんと楽しそうに)喋っていた。
女性は黙って少し離れて立っている。
外には、車が停まっていて、大音量で音楽をかけている(恐らく矢沢栄吉)。
同じような派手目の女の子達が何人も乗っていた。
宗教にしては俗っぽいが、そのちぐはぐさがかえって薄気味悪い。

“間違いではなかった”部屋の住人は大丈夫だろうか。
何年か前に、新興宗教に入信した住人がいて、集会場代わりになった部屋もあったと聞いた。
信仰は自由だが、一応は会社の寮なので、大騒ぎになったそうだ。
変な勧誘とか、押し売りの類かもしれない。

奇妙な来訪者のせいで、何だか落ち着かない。
外は雨が降っている。
ともかく、今から眠る。

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