鍋を磨く

久しぶりに予定通りの休暇が取れた。
少し寝坊したが、午前中のうちに洗濯と掃除を済ませた。
数週間続いている体調不良が心配だったので、病院にも行った。ちょっと怖い話を聞いたけれども、予想の範囲内なのであまり驚かない。
帰宅したらすっかり疲れてしまって、午前中なのに昼寝をしてしまった。

少し遅めの昼食を食べ、片付けながら目に付いた鍋を磨き始めたら、ずいぶんと時間を使ってしまった。
単調な作業に没頭すると、どんどん考えが深く沈んでいく。
悪い傾向だが、思考停止に陥るよりはマシだと思うので、今は全力で悩みを抱えながら日常を維持していく。

 

夕方になって、音楽を聞きながらアイロンをかけていたら、職場の子達から呼び出された。
変な時刻に呼び出すなあ、と訝しく思ったが、考えてみれば今日は平日だった。

会社の近くのファミリーレストランに行ったら、既に全員がお茶を飲んでいた。
仕事仲間のパート員と派遣社員の人達。
職場外で彼女達と会うのは禁じられている(らしい)。
でも、この種の“お茶会”に招かれたら(気が向けば)行くことにしている。
自分の前では仕事の愚痴を言わないように普段から言ってあるし、業務の話題を避けるくらいの気配りは出来ている人達なので、外で会ってもストレスにならない。少なくとも、社員達が主催する飲み会(酔って仕事の話が延々と続く)よりは楽しい。
自分の場合、親しくなったとしても常務上の便宜も図れないし、万が一にもそうならないようにお互いに気をつけている。
他の社員は呼ばないそうなので、名誉な事なのかもしれない。よく判らない。

とにかく、自分も着席して、コーヒーを飲みながら皆の話に混じる。
と言っても、あいづちを打ったり、仕事の話になりそうな時に口を挟んだりするだけ。最近はTVも観ないので、話題の半分についていけない。急に年をとった気分になる。

僕が呼ばれた理由は、ある悩み事について、男性側の視点からのアドバイスが欲しかったから、らしい。
話を聞いてみると、今自分が抱えている悩みに(ある部分が)非常に似通っていた。
思わず深く考えてしまう。同情もする。彼女もまた、日々悶々と悩むのに疲れている。
「いくら考えても、そうとしか考えられない」と彼女は言う。
でも僕に言えるのは“考えろ”という一言だけだった。

僕達は、自らの主観について、もっと謙虚になる必要がある。
「自分は間違える可能性がある」その事実を忘れなければ、どんなに辛くても苦しくても、思考停止に逃げたりは出来ない筈だ。
午前中に鍋を磨いていた時と同じようなことを再び思う。

帰り際、皆からバレンタイン・デーのプレゼントを貰った。
職場での受け渡しは禁じられている(らしい)ので、今日渡すことにしたらしい。
彼女達には、自分が(どちらかといえば)甘党であるとは知られていないので、普通のチョコレートの他にも、ビーフジャーキーやナッツといった、お酒のおつまみのようなものが多かった。

これも何かのきっかけだと思い、帰路にウイスキー無頼派)とテキーラ(小瓶)を購入した。
明日にでも試そうと思う。

 

 

 

 

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