任天堂

“技術報告会”という社内行事がある。
コストダウンや能力向上といった、所謂“改善活動”をプレゼンテーションするもので、高評価が得られると全国大会にも出なければならない。
こんなイベントが無くても、(他の業種と同様)工場業務というのは何かしらの合理化を求められるものだし、機械でも組織でも働きやすさを求めれば、自然と“改善”は進んでいく。しかし残念ながら、工場でこつこつと改良をするのが得意な人達の多くは、プレゼンテーションというものを(さらに言えばPowerPointを)忌み嫌う傾向が強いように思える。喜々としてPowerPointをいじるエンジニアというのは、今まで見たことがない。

そんな訳で、今までも、この報告会に進んでエントリーする人は少なくて、大抵は上司が指名して(半ば勉強の為に)手取足取り教えながら報告資料を作っていた。
通常は各職場の若手が数名の班を作ってエントリーさせられる。半年程苦労して資料を作成し、工場の大講堂で発表する。
上手く行けば工場長や副工場長から賞(記念品や図書カード)が貰えるし、もっと評価が高ければ本社で審査されて、豪華な商品やトロフィーを手にする事になる。

 

今回は僕と同僚数人が指名された。
幸い、自分にプレゼンテーションの基礎知識があったおかげで(遥か昔、学生時代の研究発表を思い出す)、上司の指示を受けずに好き勝手にやれたので、無理な残業をすることも無かったのだが、それでも統計解析の本を読んだり、きちんとしたグラフを作ったりするのはなかなか骨が折れた。
プロジェクト自体は、僕が静岡で働いていた時のアイデアを同僚達が手伝って実現しただけで、成果自体は良かったものの、試行錯誤も挫折もない簡単なものだった。

発表に当たり、「どうせやるなら他の人がやらないことをしよう」と考え、出来るだけシンプルな(アニメーションする矢印とか、色とりどりの影付き文字とかは避けた)プレゼンテーションにしてみた。この辺は、趣味のパソコン遊びが生かせたと思う。色も抑えて、言葉も削った。ポイントだけ絞った発表にしたので、本番では制限時間を大幅に余らせてしまった。
でも、どういうわけか随分と良い評価を得られたようで、いつのまにか本社での書類審査に持ち込まれていた。

 

そして今日のミーティングで、上司から“全社奨励賞”を受賞したことを知らされた。
賞状や記念盾とともに、“奨励金”と記念のボールペンが貰えた。

この“奨励金”は、使い道が限られている。
職場に投資してはいけない、経費代わりには使えない、現金で受け取ってはいけない、そして何割かは職場全員に(記念品などの形で)分け与えなければならない。飲食に使うのも禁止されているので、お祝いの飲み会も開けない。
以前、他の部署で受賞した時は、“おそろいのロゴ入りマグカップ”を作ったそうだ。
そういえば、半年前にこの話題が出た時に、先輩社員が
「もし賞金が入ったら、皆でお揃いのブルゾン(!)かTシャツを作ろうぜ。」
と言っていた(誰がいつ着るのだろう)。
今回は課長の一存で、半分以上を僕達プロジェクトメンバーへの記念品、残金を記念植樹(さるすべり)と図書カード(1人1000円)に当てることにしたそうだ。ほとんどプロジェクトメンバーだけで達成した成果だったので、この配分が道理なのかもしれないけれど、少し不満そうな人もいるようなので気まずかった。
ともかく、僕には小さな箱を、他のメンバーはもう少し大きな箱(記念品、と書いてあった)が手渡された。

残業で忙しくて、ずっと記念品の事は忘れていた。
先程帰宅した。

開けてみたら、“ニンテンドーDSLight”が入っていた。びっくりした。箱が小さいので、初めは別の何か(ジョークグッズとか、文房具の類)だと思っていたが、本物だった。

他のメンバーは、電子辞書を貰ったらしい。
ネットで調べてみたら、このゲーム機は思っていたより高価だった。

もう一度外出して、中古ゲーム店でソフトを買ってきた。でも、まだ充電していないし今日は眠いので明日開封してみる。

 

とにかく、思いがけない物を貰った。ゲーム機を手にするのは何年ぶりだろうか。

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