水族館のチケット

半年前から進めていた仕事(新しい機械の導入)が完了した。
関係者が集まってパーティを開いたのだが、自分は普段の仕事があるので参加できなかった。
簡単な式典にだけ参加して、製造現場の代表としてスピーチをした。
その際に、何度か話したことのある取締役風の上司に声をかけられた。僕のほうは名前も覚えていなかったが、相手は自分の名前や現在の立場(出向の経緯とか、現在の仕事とか)を全て把握しているようだった。
この人と話すと、いつも水族館の話に誘導される。自己紹介の時に「鳥羽水族館に行きました」と言ったのが発端だと思う。今日も、最近行った水族館や珍しいイベントについて教えてくれた。僕も水族館は大好きなので楽しいのだけれど、「変なおじさんだなあ」とも思ってしまう。
今日は、「これあげる。楽しんでおいで」と言って、名古屋水族館のチケットをくれた。
水族館の事を除けば、普段は全く話さないし、滅多に工場にも顔を出さないので“専務とか常務とか、とにかくエライ人”程度の認識でいたのだが、今日聞いた話では、この水族館おじさんは、“社長の次くらいの地位の人”らしい。しかも創業者の血族で、普段は世界を飛び回っているそうだ。そんなに忙しいのに、仕事の合間に水族館に通う(シアトルの水族館がお奨め、らしい)なんて立派だなあ、と感心してぼんやりしていたら、知らない社員から「上手く取り入ったな。あんた。」と耳打ちされた。少し嫌な気持ちになったが、もし会社内に“水族館マニア閥”なんてものがあったら愉快かもしれない、とも思った。

仕事が終わってしばらく残業していたら、警備員さんから「ロッカーの前にからあげが山盛りになっている」と連絡があった。
パーティに参加した上司が届けてくれたらしい。
いつもなら深夜まで働いた時は何も食べずに眠ってしまうのだけれど、揚げ物の匂いを嗅いだらお腹が空いてきた。
少しだけ、とつまんでいたら、普段の夕食と同じくらい食べてしまった。

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