朝にはすっかり元気になって、昨晩の風邪は何だったのかと不思議な気分。
とはいえ寒い。まだ真冬の服を出していないし、それほど長く外に出ない暮らしをしているので(自転車での移動は朝と夕方のみで短時間)薄着でもなんとかなっているが、街の人達はきちんとコートを着ている。手袋やマフラーの人もいた。
さてようやく、先週土曜日に行った「とくしま動物園」について書こうと思う。
といっても、数日経てば個々の動物や、細々した出来事についてはもう書けない。思い出せない訳ではないのだが、なんとなく書く価値が薄れていって、全体の印象のみが表層に残る。
どんな動物園だったか、を簡単に言うと「暖かくて優しい動物園」。
市民の憩いの場といった雰囲気が入り口から隅のほうまで充填されたような場だった。
お客さんの8割以上が子供連れ、しかも就学前のちびっ子を連れた家族が多い。僕のような単独中年男はどんな動物園でも少数派だが、それにしても浮いていた。僕もベビーカーを買ってくれば良かった、と少し後悔したくらいだ。
到着したのが午後2時過ぎということもあり、紅葉した木々と冬の午後の光が合わさって、広場も通路も本当に綺麗。明るく金色がかった風景のなかを元気なちびっ子達が駆けていくのだ*1。かけがえのない瞬間に不意に立ち会ってしまったような気分。正直なところ眩しすぎる。
「分かたれた道の先」とか、よくわからないことを考えてしまうのだ。
なんとなく、京都市動物園を思い出す。
あの動物園も、メインターゲットは小さな子供達だった。そして明るかった。
山の斜面に作られているという点では、故郷の日本平動物園にもよく似ている。
ねずみチョロチョロ動物園にあらわれ候 「とくしま動物園」 ねずみチョロチョロシリーズ
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規模としては、京都市動物園よりも小さいかもしれない。一通りの大型動物がいる動物園としては「中の小」といった感じ。ゾウもいるしライオンもいる。サファリを模した広い草食動物用のエリアもある*2。
ペンギンだっているし、ウサギなど小動物と触れ合う場所も当然ある。
いささか古びている事は否めない。
空の檻もいくつかあったし、昭和っぽい設備も目立つ。
でも、旭山動物園のような手作り案内を駆使し、あるいは飼育員さんの工夫もあって、見ていて貧乏臭く感じることは全然無かった。
ちびっ子の客が多いからだろうか、飼育員さんが積極的に(掃除や餌やりの途中に)こちらに声をかけてくる。規模が小さいからこそ、の取り組みだろう。
そういえば、ゾウの日常点検(?)の場を見学させてもらえた。
ゾウが半バックヤードのような場所に行き、おやつを貰う。その時に飼育員さんの合図で、脚の裏を順番に見せていくのだ。飼育員さんは丁寧に足の裏をチェックし、ブラシや金属のヘラで爪の先や足裏の汚れを掻き取っていく。親密ではあるが相手は大きいから、大変そうな作業だ。ゾウが気を利かせて(というか毎日の習慣だから)合図より先に脚を出しても飼育員さんは動かない。これは「自分の合図にゾウが従う」というかたちを守らせることで、力関係の逆転を防いでいるのだという。頭が良い動物なのだ。
フラミンゴも見事だったし、鳥が放し飼いになっている大型ケージも楽しかった。動物園のシンボルにもなっているコンドルも迫力があった。
隣には植物園もある。ここは全て歩いたわけではないが、なかなか楽しそう。学術的なそれではなくて、やはり市民公園的な部分が大きい様子。動物園の横には小さな遊園地もある。
動物園をみっちり歩いても3時間と少し。普通はその半分でも全ての動物を見ることができるだろう。お弁当を持って広場やベンチでのんびりして、植物園も歩けば、休日をしっかり楽しめそう。
こういう素敵な場所に行くと、つい考えてしまう。
「どうして香川県には動物園が無いのだろう?」
自分より年上の知り合いからは「栗林公園にゴリラがいた」と聞くが、栗林公園って巨大な日本庭園の筈で、ゴリラはちょっとそぐわないと思う。たぶんゴリラも「自分は場違いじゃないかな」と思っていたはずだ。