仕事をさぼって映画『ブリグズビー ・ベア 』を観てきた。

少し風邪っぽいのは職場で同僚から貰った夏風邪か。
それほど酷くはないし仕事を始めたら気にならなくなった程度だが、仕事の段取りがついたので午後は半休とした。色々と調整したら「今日必ずやるべき仕事」が綺麗さっぱり無くなってしまったのだ。
ここしばらくの日記で書いているように勤め先の今と今後について複雑な想いもあるうえに、これからお盆休みまでは心身ともに疲れてしまいそうなので、自主避難的な半日休暇を取ったわけだ。
変に説明すると仕事仲間達に心配されそうなので、ただ「家の都合」とだけ言ってある。万が一、このブログを読まれたら怒るかもしれない。がっかりするかもしれない。

 

実際には出張先の静岡市から「直帰」のかたちで仕事を終えた。
お昼は「ALLEE RESTAURANT」でイチジクとマスカルポーネのサンドイッチを食べた。抜群に美味しい。

 

 

 

 

そして映画を観た。
静岡の映画館では今日が最終上映日の『ブリグズビー・ベア』。なんとなーく観たいとは思っていたが日程が合わず、しかしALLEE RESTAURANTで奨められたうえに今日が最後となると、縁を感じてしまう。というわけで観た。

観て良かった。
年に数回、「これは、僕のための映画だ」と思える作品に出会う。自分の何かにしっかりとフィットする映画。単なる感動とはちょっと違う。この『ブリグズビー・ベア』が久しぶりのそれだった。

 


映画『ブリグズビー・ベア(BrigsbyBear trailer)』予告動画

 

赤ん坊の頃に誘拐され、ずっとシェルターみたいなところで育てられた青年の話。
両親を騙る誘拐犯はインテリの夫婦で(数学者と映像作家)、独自の哲学と方法で、ほぼ閉鎖環境下でこの赤ん坊を青年にまで育て上げたのだ。
外は汚染されていてガスマスクが無ければ外出できない。周囲は荒れ地で、地下シェルターみたいなところで暮らしている。ちょっと変わったお祈りと、そして毎週届けられる「ブリグズビー・ベア」のビデオ・テープ。

この「ブリグズビー・ベア」は子供向けSF特撮番組。この番組のみを観て青年は育つ。
なぜか数学理論が散りばめられた、でも良くある感じの安っぽいSFドラマだ。

実はこれは偽の両親が作ったビデオ作品。彼らにしかわからない(劇中では語られない)目的のために作られたもの。

そしてある時、この偽両親は警察に捕まってしまう。
ここまでが前段。
生みの親の元で暮らすようになった青年は、現代のアメリカで浦島太郎的な生活を送ることになる。

 

こういう人工的かつ閉鎖的な環境で育てられた子供の話は色々ある。それこそ新興宗教から非人道的科学実験まで数多い。基本的には「外の世界に出てから」が物語の見どころとなる。

 

この『ブリグズビー・ベア』も同じ。
ただし主人公の青年がとても聡明なのが、ちょっと面白い。もちろん子供の頃から同じ番組しか観ていないのだから色々と偏っているけれど、「自分の常識」が周囲のそれと大きく違うこと、新しい大きな世界にも素晴らしい価値があることを、早い段階から理解している。
そして青年は(とびきり楽しく可愛いエピソードが連なった先で)自分の心の“核”である「ブリグズビー・ベア」を大切にしながら、これからも生きるための一歩を踏み出す。

 

ぼろぼろ泣けるわけじゃない。どちらかといえば楽しく笑える映画だ。単純にコメディとするには闇もある複雑な作品ともいえる。ただ、映画愛、ものをつくることに対する信頼があちこちから滲み出ていて、とても気持ちいい。

若くて阿呆で豊かなアメリカ人達。登場人物が皆、とても愛おしい。
物語の力、たとえそれが許されない生い立ちと時代遅れの物語だとしても、物語には人を幸せにする力がある。そういう希望が、ボンクラ共の青春で紡がれていく。

予告編を見て少しでも興味が湧いた人は、映画館でも動画配信でもレンタルでも、とにかく観て欲しい。
丁寧に作られたストレス無く楽しめる傑作です。

 

本当に、観て良かった。
思わずバッジを買ってしまった。自分としては珍しい。

 

 

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