博多風の天ぷら

最近あちこちで見かける「博多風天ぷら」のお店に行ってみた。
といっても出張先で立ち寄ったAEONにあったチェーン店。博多で入った定食屋みたいなところとはまるで違う雰囲気。

要は「揚げたて・安価・漬物や明太子や佃煮の類が無料」という形式の天ぷら屋なのだと思う。

大抵の山菜が「揚げればなんとかなる」のと同じなのかそれとも関係無いのかはわからないが、天ぷら屋というのは安くても高くてもまず外れが無い。お惣菜の天ぷらは大外れの事があるけれど、普通に揚げたてを出す店ならば一定水準の美味しさが確保されていると思う。

今日のお店も美味しかった。
博多の辛子明太子がおかわり自由だった。
とはいえ、自分としては天ぷらだけで完全に美味しくご飯を食べることができるから、辛子明太子は持てあましてしまう。
ご飯と辛子明太子と汁物だけのメニューがあったら嬉しいのだけれど、残念ながら存在しない。
ちなみに小鉢の2品は偶然にも自分が苦手なものばかりで、勿体ないから食べたものの(野菜を摂る=正義、という家に育ったのです)、ちょっと困ってしまった外食ではあった。
辛子明太子は少しだけ食べたが、基本的に天ぷらとご飯とお味噌汁でお腹いっぱい、そして今も満腹感が続いている。

 

以前、独り暮らしをしていた時に、上司に高級な天ぷら店に連れていってもらったことがある。実家から離れて暮らす自分への配慮もあったのだろうし、美味しいものを食べさせる年少の人間として気に入られていたのだとも勝手に思っている。半年に1回くらいの頻度で、大抵は土曜日、上司と上司の奥さんと自分の3名で、ほとんど酒も無い食事会。
白木のカウンター(いつもカンナをかけたばかりのようにまっさらだった)も、銅鍋に張った澄んだ油も、それからもちろん天ぷらも、自分だけではまず遭遇しない世界だった。なかなか癖の強い上司だったが、話していて面白い人だったし、少なくとも天ぷらに関しては本当に感謝している。
「料理は酒を美味くする。逆に、酒が無いと美味しくない料理は、実は少ない。少なくとも天ぷらは美味いじゃないか。だから酒が苦手でも大丈夫だ!」と、よく言っていた。それも半分は酒に弱い自分への配慮だったのだろうが、でも世のオッサン世界に蔓延する「飲めないと損」という常識をあえて疑う言葉として、あの人らしいなと今も時々思い出す。
これからも外食で天ぷらを食べるたびに思い出すだろう。変な思い出が料理に繋がってしまった。