図書館の思い出「 岐阜県立中央図書館 みんなの森メディアコスモス 」

先週末に訪れた岐阜の県立図書館について書こう。
友人に誘われて行ってみたのだが、想像以上に素晴らしい図書館だった。いや、メディアコスモスを名乗るだけあって、図書館以上の何かができていた。

一言で言えば「近所に欲しい」、別の言い方をすれば「岐阜市民がうらやましい」です。

 

 

少し前の表現ならば「図書館2.0」だろうか。
1階は広い共用スペース、ギャラリーやミーティング用の部屋もたくさん、ローソンが建物内に、そしてスターバックス・コーヒーが建物にくっついている*1
自由に使えるテーブルやベンチがあちこちにあって、1階は飲食可能エリアがほとんどなので、思い思いに勉強や読書をしている。
真ん中にガラス張りの書庫がある。ここは2階からしか降りることができない。ちょっと古い本や資料があって、半閉架というのか、調べ物のための開架となっている。さらに2.5階には閉架がある。

2階は図書館エリア。
基本的に円と曲線で構成されている。本棚は低く、そして全体に円弧を描く。カテゴリ表示が適切で、しかもあちこちに案内表示(クールなプラスチック製でかっこいい)があり、複雑なつくりなのに迷わない。むしろ、角が無いつくりが人の動きを循環させるのか、無目的に延々と本棚の周りを歩いてしまう。僕はほとんど読書はしなかったけれど、2時間は探検できた。

 

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この格好良いドーム状の構造物が2階のあちこちにある。
少しずつデザインとサイズが異なる。それぞれの下には、貸し出しカウンターやイベントスペース、子供用やヤングアダルト用のスペースやエリアがある。広い床に贅沢な低い本棚があり、そしてどこからでもこれらのドームを目指すことが可能だ。だから、本の森を迷うこともできるし、目的の本や場所に素早く辿り着くこともできる。明るくて広い図書館は今では珍しくないけれど、きちんと使いやすさに繋がっているところは本当に感心した。よくできた自然公園のようだ。

それから2階のあちこちにやはりフリースペースがある。予約して小会議や読書会が開ける部屋もあれば、ただ靴を脱いで過ごす絨毯張りの部屋もある。
靴を脱ぐ部屋はドアもなく大きく開けていて、そして子供限定の場所となっている。読書に飽きても、あるいは読書に興味が無くとも、ここで自分の好きな運動などをして過ごせる。実際に少林寺の「型」を練習している子供がいた。

ヤングアダルトのエリアは、中高生向けの本があるだけではなくて、席も彼ら専用。無駄な席取りができないようになっていて、宿題や調べ物をする彼らが他の利用者と区分けされている。
若者の心の叫びを投稿するポストと、図書館員の回答も張り出されていて楽しい。なかなかレベルの高い回答だった。

 

世界の美しい図書館

世界の美しい図書館

 

 

ちびっ子向けスペースも面白い。巨大な猫ちぐらみたいな場所に入って本を読む親子、丸い椅子でのんびりする幼児、小さな椅子もたくさん用意されていた。

 

図書館 愛書家の楽園[新装版]

図書館 愛書家の楽園[新装版]

 

 

これだけ広く、そして人も多いのに、全体として静かな印象がある。緊張する静けさではない。実際には子供が大きな声を出すし、普通の声量で会話することも当たり前だ。でも、マナー違反で周囲に迷惑をかける使い方をしている人は記憶に残っていない。大きな公共施設には必ずいる、「ちょっと迷惑な人」が皆無だった。高校生ですら、大人しく読書をしていた。

図書館としての基本、選書も良かった。自分の知っている分野に限れば、「それは違うだろう」という本はひとつもない。嬉しくなる選択、ピックアップはたくさんあった。
A41枚程度の各種案内も気が利いている。残念なお役所仕事の匂いがしない。これも珍しいと思う。

あちこち歩き回って気付いたのだけれど、この建物、あらゆる場所にベンチがある。ベンチが無くても、ちょっと座る場所が設えてある。そして実際、その場所が利用されている。バルコニーなど、ちょっとした余白のエリアも多くて落ち着く。

書いているときりがない。
外観も良いし、さらにいうと隣の洋食屋さんも素敵だった。
岐阜県在住の人は行くといいです。
岐阜県に隣接している県でも、何かのついでに寄ると幸せになれるでしょう。車で少し走れば素敵な商店街もある。日本有数の淡水魚水族館「アクア・トト ぎふ」や、いつか行きたい「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」も近い。

良い場所でした。

みんなの森 ぎふメディアコスモス - ´Minna no Mori’ Gifu Media Cosmos

 

お題「もう一度行きたい場所」

*1:スターバックスと図書館。悪名高き“武雄市TSUTAYA図書館を思い出させるが、ここは大違い。スタバの品も含め飲食物は1階のみOK、2階は乳幼児のための蓋があるものだけ許可されている。そもそも本の質が違う。

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