海亀の骨を埋めた

1月に三重県の友人宅へ泊まらせてもらった。その時になにやらとげとげした骨を貰った。
家から徒歩数分で海という立地で、僕も初日の出をその浜で見た。遠くに名古屋の国際空港が望める、なかなか雰囲気のある浜辺。
そこでビーチコーミングをしていた時に拾って、種類がわからないまま庭に野ざらしにしていたとのこと。庭に放置しているだけのそれになんとなく興味を覚えて、静岡まで持ち帰ってきたのだった。

種類はすぐにわかった。
Facebookに写真を掲載して数分で「海亀の腹側の骨」と古い友人からコメントが。「海亀 骨」で検索したら、確かにその通り。持つべきものは博識な友人である。

しかしこの骨、まだ脂や膠分がたっぷり染みこんでいる。
真っ白にしたいのに、洗っても磨いても黄ばみが取れない。
試しに水に漬けると、脂がどんどん浮き出してくる。真冬でさえ数日放置すると、油粘土みたいな臭いの塊が水に浮かぶ。
試しに漂白剤やその他の薬品を試してみたのだけれど、まずこの脂を抜かないとお話にならない感じがする。
特に暖かくなってきて、水に延々と漬けたら本格的に臭気が発生しそうな予感もある。

 

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というわけで、骨の処理の定番である“埋設”を行うことに。
土に埋めて、微生物に骨以外を食べてもらうのだ。

まず穴を掘る。これは庭の適当な場所に、やや広めに掘っておく。それほど深くはないけれど、うっかり露出はしない程度には掘り進めておいた。後述の砂のぶんだけ広く深くしておく必要はある。

砂浜に埋めるわけではないから、土が染みこむと後で洗うのが大変。
ホームセンターで川砂(モルタル用:20kg/140円)を買ってきて、骨全体が砂で覆われるようにする。土が直接付かないように、まず砂を投入し、骨を置き、周囲と上部にも砂を入れてから、土で蓋をする。

最後に追加で土をかぶせて土饅頭を作る。これは、いずれ凹むことを加味した対応。

 

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何か目印をつけておくつもりだった。
最初は、石に「海亀の骨」と書くつもりだった。しかしなんだか不条理文学的というか、日常生活にはそぐわない感じがして、止めた。
とりあえずレンガを1個、置いてある。

骨を埋めた場所の目印にふさわしいものは何か。
どうせ次の冬くらいまでは放置するつもりだから、ゆっくり考えればいい。忘れてしまっても良いくらいだ。

こうして、鈴鹿の浜で拾われた海亀の骨は、静岡県中部の田舎で土(と砂)に埋められた。
埋める前に、海亀のサイズを想像してみた。
水族館で成体として泳いでいるくらいの大きな亀だったと思う。不思議なのか、特に不思議ではないのか、よくわからない。ただ、なんとなく貰ってきたものを、なんとなく埋めただけなのに、変な感慨はある。

 

今日は海亀の骨を埋めた日。
雨上がりで土は軟らかかった。

 

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