あん子・まめの子・元気な子:神谷製餡所の鯛焼き

鯛焼き

明日から新しい仕事。
書類も揃えた。心構えも十分。靴だって磨いた。
他に足りないものは何だろう、と考えたところ、元気が不足しているのではないか、という結論に至る。即ち鯛焼きにより元気を補充すべしと、製餡所の鯛焼きを購入するために藤枝市の神谷製餡所まで行ってきた。

製餡所が鯛焼きや大判焼を売るのは、それほど珍しいことではないだろう。この製餡所も、前から鯛焼きやどら焼き、夏場は羊羹も売っている。
倉庫には小豆の袋が、建物の裏には冷ましている途中だろうか、漉し餡の籠が見える。運が良いと、小豆の香りも楽しめる。

今日はどういうわけか、とても混雑していた。TVか何かで紹介されたのかもしれない。番号札が配られ、焼けた頃に呼ばれるスタイルで販売していた。

こしあんの鯛焼きと、つぶあんの鯛焼きを購入。

見てわかるように、型からはみ出た部分(鋳造・成形における“バリ”の部位)をほとんど切り落としていない。こういうスタイルの鯛焼きは、香ばしさを売りにしているものが一般的だが、この店の皮は、ホットケーキ的にふわっとしている。
だから、かなり食べ応えがあるのだった。

鯛の部分そのものはそれほど大きくはない。しかし、鯛の部位が全て餡であり、周囲のバリがそれを封じている形なので、餡の量もとても多い。これで100円/個はずいぶん安い気がする。

さすが餡の専門店、と嬉しくなってしまうのは、やはり小豆餡の味。
温かいうちに食べると、緑茶に合わせて丁度良い甘さ。そして(これが特筆すべき点だと思うのだが)冷めると上品な甘みになる。
冷めた状態だと、和菓子屋の日持ちがしない上等な和菓子みたいな感じがする。それを鯛焼きとして、手づかみでそれなりの量を食べるのだから、ちょっと珍しい体験ができてしまう。

そんなに頻繁には行かない。でも、行けばその日はごきげん、そんなお店の鯛焼き。
日が短くなってくると、鯛焼きが美味しくなる。

 

 

東京のたい焼き ほぼ百匹手帖 (立東舎)

東京のたい焼き ほぼ百匹手帖 (立東舎)

 

 

 

 いもぼう

まるで関係無いのだが、僕は旅先ではその土地の料理を食べることにしている*1。先日の大阪・京都旅行では、夕食に「いもぼう」を食べた。

 

 


元祖っぽいお店の、まだ空いている時間にのんびり食べたそれは、大層美味だった。人生で最も美味しい「里芋(系)の煮物」だった。
今日は海老芋を買ってきて、煮物を作ってみた。棒鱈は売っていないので、「削り鱈」を使う。これは鱈の干したものを鰹削り節の機械にかけたもので、たぶんどこかの水産加工会社のアイデア商品。最近は、色々なものを削り節状態にして売っている。
味は「いもぼう」に、まるで似ていないものができた。きちんと上等な煮物になったのだが、やや不満が残る。京都では市場も歩いたから、あの時に棒鱈も買っておけば良かった。

 

しかし京都、面白い土地だった。
鎮守の森みたいな広い敷地に料理屋がある、というのが珍しい。祇園先斗町も歩いたけれど(だんだん飽きてくるし人混みに疲れてくる)、僕としてはあの、八坂神社や円山公園の暗い森のなかに点在する料理店*2の夜のほうが楽しかった。そういう暗い道を静かに歩いている人に何度もすれ違ったことも、ちょっとした非日常。

 

 

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

 

 

 

 

*1:修学旅行の際、引率の先生が“土着の料理”と言っていて、ホテルの人にやんわり訂正されていた。その言い方が京都人っぽくて、今思うとあの体験こそが学を修める旅に相応しかったと思うのだ。ありがとう先生。

*2:入りづらいところも、俗っぽいところもある。旅館だってあった