雨の美術館 大山崎山荘美術館

今日は雨に閉じ込められて、家で読書や趣味だけをしていた。
というわけで書くことがない。しいて言えば、レイトショーの映画を観にいく。といっても出発まで20分は暇だから、先日の旅行について書いておく。

 

 

大山崎山荘美術館

大阪京都旅行の1日目、万博記念公園とその周辺を満喫したあとは、宿のある京都に向かう。その途中にある「大山崎山荘美術館」は、雨のなか、わざわざ行くだけの価値がある、とても美しい場所だった。

 

 

ここはニッカウヰスキーの創業者のひとり「加賀正太郎」氏が作った山荘を改装した美術館。この加賀という人がいかにも戦前の大金持ち的な滅茶苦茶な人で、実業家であり、登山家であり、ランも育てるしゴルフ場だって初めてしまう。大正から昭和初期の“富裕層の文化”を調べると、あちこちに顔を出す人だ。
そしてこの山荘も、本人が設計している。

まあ、重厚で豪華な建物だった。
大きな革張りのソファに暖炉、太い木を使った階段。しかもしっかりと、居心地が良いのだった。
その建物を利用した美術館は、それはもう面白い作品があちこちに置いてあって、見ていて飽きない。芸術作品だから、自分にはぴんとこないものも有るのだけれど、普通に工芸品として素晴らしいものも多いし、珍しいものも沢山ある。さらに言うと、置き時計や花瓶だって、「お宝」ばかり。

近年に増設された安藤忠雄氏設計の「夢の箱」という別棟では、モネの睡蓮なども見ることができる。美術館としてはそれほど大きい建物ではないのだが、周囲の庭も含めて、ここまで充実した場所も珍しい。

 

 

僕が気に入ったのは、2階に上がった瞬間の空気。
階段(もちろん螺旋状の、ヨーロッパ的な、でも落ち着いた素敵なもの)を登っていくと、急に空気が暖かくなる。そして、コーヒーの良い香りがする。1階が美術館的な張り詰めた心地よさだったとしたら、2階のそれは“お金持ちの家に招かれたような”雰囲気を持つ。
これは、2階の半分くらいが喫茶室だからなのだが、実に素敵な演出だと思う。

というわけで、ここではコーヒーとケーキを楽しんだ。
石積みのバルコニーからは、眼下の風景が楽しめる。室内のテーブルは全て埋まっていたので、ここで外を眺めながらひとやすみ。
アサヒビールの施設だから、ビールを飲んでいる人も多かった。名物として「ワインケーキ」があるようだが、僕は今の特別展にちなんだ「七つ星」という品を選んだ。豪華版ティラミス、といった風情で、とても美味しい。
ぼんやりしていたら、雨が止んで、周囲の雲が動き始めた。今まで薄い雲の中にいたのか、と思ったことを覚えている。

駅から歩くが、さほどの距離もない。
ただし上り坂が続くから、足の悪い人用に無料送迎バスが往復している。今回はタイミングよくそのバスに乗せてもらえた。他に乗る人がいなかったとはいえ、ただ疲れていただけの僕を乗せてくれたのは有難い。帰りは山の風景を楽しみながら、歩いて駅に戻った。

 

そう、この美術館のある山を歩くのが、とても楽しかったのだ。
小さなトンネルをくぐり抜け、なだらかな道を歩く。紅葉が色づき、全体は雨に濡れて、しっかり手入れをされた庭木と自然の草木が視界を埋める。ここにクラシックカーが走ってくれば、NHKスペシャルドラマだ。

 

最寄りの山崎駅自体は、こぢんまりした地味な駅だった(京都大阪の境を示す標識があった)。しかし電車の本数は多いから、交通に不便は無い。

次は晴れた時に行ってみたい。真夏でもいいし、春でも冬でもいい。
自分でも驚くくらいに気に入ってしまった。小規模の美術館としては、自分の中のランキングで上位に入る。

良いところ、でした。みんな行くといいです。

 

 

 

 

天王山の宝石箱―「アサヒビール大山崎山荘美術館」誕生物語

天王山の宝石箱―「アサヒビール大山崎山荘美術館」誕生物語

 

 

お題「紅葉」

お題「印象に残っている展覧会」

t_ka:diaryは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。