スマートフォンのカバー #自作 #革 #レザークラフト #HUAWEI

先月、スマートフォンを買い換えた。
HUAWEIの「Mate9」という機種。機能性能に不満は無く、日々その便利さを実感している。
しかしデザインは、その前に使っていた同じくHUAWEIの「Ascend Mate7」と、ほとんど変わらない。特に画面側は、同じシルバーということもあってまるで代わり映えがしないのだった。

Mate9は外国製スマホらしく充電器やガラス保護フィルムそれにプラスチック・カバーまで全部付いてきて、特にカバーは純正品らしいシンプルさで過不足は無いが、しかし前述の通り見た目がつまらないので、今回はカバーを自作してみることにした。

 

 

どこかで見た、革を一体成形した、継ぎ目も縫い目もないカバーを作ってみる。
今回も基本的に、「ネットで調べず、作り方から自己流」で頑張る。

 

まずは型を作る。
最初は少し大きめの雄型。これは建材用のポリスチレンフォームを活用。安いし(ホームセンターで91cm×91cm×1cmの板が400円)、丈夫なのにカッターでさくさく切ったり削ったりできる。そのまま使うと自然な“角丸”仕上げになるし、角を立てたい時は厚紙を1枚重ねればエッジが生じる。革の押し出し加工、いわゆるウエットフォーミングには便利な素材。他にも使い勝手が効くから、1枚買って、適当に切って保管しておくと便利。

ともかくそういう雄型を作る。縦横はほとんどスマホと同サイズで、厚みだけ1cmほど増やした寸法。これを適当な板に固定する。
大きめに切った革を十分に濡らして(面倒なので半日放置した)、この雄型に被せて、軽く固定したら、そのまま衣類圧縮袋に入れて、空気を吸い出してしまう。

この、衣類圧縮袋を用いた型押しは、自分で見出した手法のなかではトップクラスの優れたやり方だと思っている。たぶん検索すれば、同じ事をしている人もいるだろうが、ともあれ自分を褒めてあげたい改善提案である。

大気圧を利用しているから、全体を均一に押していけるのがポイント。普通は濡らした革をヘラや手で伸ばして形を整えるのだけれど、革は伸ばしすぎると皺になるので、僕はあまり得意ではないのだった。
最近は小さいものに関しては、食品用の真空保存袋を使っている。こちらのほうが手軽。夜中でも作業できるし、かさばらない。 

 空気が抜けた状態で、ぎゅうぎゅうと角や端を押して型に革を合わせる。少し放置したら、外に出して様子を見る。必要ならばまた空気を抜いて型に密着させる。

なにしろビニール袋だから、このままでは乾燥できないのが難点。木の棒などで四方を押さえ、眼鏡クリップやC型クランプでがっちり固定してしまう。鉄イオンだろうか、金属が直接触れたところは、いかにもタンニンと反応しましたというような青黒い模様が付いてしまうので、何かしらの養生は必要。
この黒い斑点は、最初に水を吸わせる際に酸性にしておけばいくぶん防げる。僕はクエン酸を使うが、たぶん食酢でも大丈夫だろう。

 

雄型と板と木の枠と、それから革を固定したまま乾かしていく。1日放置すれば乾く。サーキュレーターの前で風を当てると早いが、なんとなく邪道っぽいので無難に日陰干しが良いのではないか。

だいたい乾いたな、と思ったら枠から外して、また半日放置。これでかちかちに乾く。革は濡らすと可塑性が高まるが、乾くと堅くなる。今回はこの性質を利用しているわけだ。

 

今回はスマホカバーにするため、大きめに作ったこの革を、この時点で切っていく。スマホの厚みに5mmほど足したサイズでざくざくとカットする。最後に微調整するけれど、ここで綺麗にカットした方が後が楽。

次に仕上げ用の型を作る。
ホームセンターにスマホとほぼ同じ厚みの桐材が売られていたので、これを活用。カッターで切って、スマホそっくりの板を作る。
革は縮む、と聞いたのでこれにスマホカバー(買った時に付いてきたもの)を被せて、全体をラップフィルムでぐるぐる巻いて、型は完成。

今回の作業、全般でこの梱包用ラップフィルムが大活躍している。
ちょっとした固定から、防水被覆、そしてこの後の成形でも欠かせない。台所のラップと使い分けると便利。

乾燥した革に水を少しずつ染みこませる。
全体に水が行き渡る程度。放置していると先ほどの形が崩れるから、しっとりさせたら後は適宜指先で水を足していく程度で良い。

この濡らした革を、型に被せる。
革の端がモニタ側に数ミリ被るように、革を伸ばし、折っていく。皺にならないように、そして全体に均一に。

作業としては、角や縁に革を被せたら、ぐるぐるとラップフィルムを巻いてしまう。最初は雑に全体を固定し、だいたいの形ができたら、最初の雑なフィルムは外して、丁寧に固定する。
フィルムのうち、縁と角はしっかり巻き付け、他の部分は革が露出するように巻き直したら、作業は完了。

また放置。
フィルムに覆われていない部分が半乾きになったあたりで、角や縁を少しずつ露出させていく。浮きそうな場合はまたフィルムを巻く。
雌型を使わない、そして3次元的な成形をするには、このフィルム方式は手軽で便利。

1日で、乾きやすそうな部分は乾く。最後はフィルムを全部外して、型からも外して、完全乾燥させる。

 

これで、スマートフォンの形をした革の成形品ができた。
あとはカッター(できるだけよく切れるもの)で縁の部分を均一に削り、さらに紙やすりで仕上げていく。
センサーや充電コネクタ部分はポンチで開口。
電源スイッチ部分は小さな穴を開けて、手探りでもわかるように。音量はほとんど触らないから、濡らした状態で「+ −」を刻印した(マイナスドライバーを押し付けただけ)。
イヤホンやSIMカードスロットは滅多に使わないため、今回は開口しない。

面倒だったのが、背面のカメラ関係と指紋センサー。
だがプラスチックのスマホカバーをテンプレートにできたので、位置決めは簡単。スイッチの類は、型を作った時点で(ちょっとした凸みを付けるなどして)わかるようにしておいた。

 

縁はレザークラフト用のコーティング剤「トコノール」を塗り、磨く。
全体に「ニートフットオイル」を塗り込み、スマホをかぱっとはめ込み、完成。

 

 

今回、革は静岡市レザークラフト店で買った端切れを使った。
店の奥で見つけた値札の無い革。
「こんな革、ウチにあったかな…」と店主さんが言っていて、1000円以下で買うことができた。
使う前は白っぽい、見たことのない風合いだったが、手を入れはじめたらどんどん馴染みはじめ、馬具みたいな手触りになった。
スマホをはめ込んでから数日で、浮いていた部分は縮み、窮屈だった部分は広がり、純正品以上にぴったりはまって外すのに苦労するほど。
なんとなく「呪いの革」っぽい。
傷がついても一晩経つと消えている。まだ1週間しか使っていないのに、使い込んだ風合いになってしまった。僕の実力以上の結果を生んでいる、ように思えてならない。

結果としては満足。
もう少し穏当で上品なカバーを作りたいところだが、とりあえずはこれを1ヶ月以上使って、それから考えたい。

毎日の作業は20分程度、完全に放置したままの日を加えて1週間で完成した。集中すれば3日で作れるだろう。友人から制作を頼まれたので、次は他の革で試してみる。

 

 

レザークラフト技法事典―クラフト学園虎の巻

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はじめてのレザークラフト

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お題「ケータイと私」