ナイフを研ぐための道具作り #革砥 #革砥石 #レザークラフト

革の道具で、切ったり刺したりするものは、研ぐ必要があるという。

 

 

例えばアイスピックみたいなものがいくつかあって(丸目打ち、菱目打ち)これらは購入したら研ぐもの、らしい。安物でも高級品でも、とにかく研ぐ。ちなみに僕は安物の道具しか買っていないし、丸目打ちに関しては祖母の裁縫箱から持ってきた骨董品だ。でもいちおう使える。

KRW 革包丁 ステンレス製 レザークラフト 工具 皮裁ち

革包丁。革を切るための道具。
これも研ぐ必要がある。
ただし僕は革包丁は持っていない。
同じ形と用途の「別たち」という刃先が交換できる刃物があるのだ。なにしろオルファだから、刃はどこにでも売っている。
工場などで、厚いフィルム状のものをぐいぐい切る時は、まずこの「別たち」がファーストチョイスな気がする。
とはいえ、この「別たち」の刃は研ぐことができる。長く使えたほうが経済的、それに切れ味は効率と安全に比例する。実際、最初はさーっと切れていた革が、作業の後半ではざくざくと切れる、くらいの変化はする。切れ味を高めると耐久性が落ちる、というのは刃先研磨の基本である。

 

特選革包丁 36mm巾 1152026 52026

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オルファ(OLFA) 別たち 56B

こういう、こまめなメンテナンスが必要なものが、レザークラフトの世界には多い。
実のところ、革包丁どころか「別たち」ですら、僕は使わないことが多い。大小のカッターナイフを使い分けて、大抵の仕事は済ませてしまう。真っ直ぐ切るだけならば、紙用の裁断機(ロータリーカッター)だって使える。

OPINEL(オピネル) ステンレススチール #8 41438 【国内正規商品】

 僕は使い慣れた「オピネル・ナイフ」を使うことだってある。

オルファ(OLFA) 別たち 56B

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OPINEL(オピネル) カーボンスチール #10 41480 【国内正規商品】

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溝を掘る道具、跡を付ける道具、調べれば沢山あるが、わりと代用が利く。しかも、代用品であっても作業性や成果への影響が少ないのが、他の工作趣味とは違うところ。
思うに、レザークラフトは、まず職人の世界が成立して、それから趣味としての展開があったから、なのだ。だから未だに、こまめな手入れが必要な、それぞれの作業に特化した品ばかり使うことになる。
職人の仕事となると、経済性も無視できない。
ほぼ全てが手作業の仕事では、そう簡単に新しい道具を導入するわけにはいかなくなる。試行錯誤して合理化するより、手に慣れた道具をきちんと使うことが求められる。
Webサイトを見ている限り、趣味でレザークラフトをする人達の多くは、どちらかといえば裕福な、きちんとした道具を揃えることも楽しみのうち、という雰囲気を持っている。
低コストとか、台所にあるものを工夫して…みたいな興味を持って革工作をする人は少数派だ。

 

とはいえ、刃物は研げるのならばできるだけ研いだほうがいい。
というわけで、作ってみた。

砥石を傍らに置いて、というのは面倒だ。
さっと切れ味を復活させる、といえば「革砥」が有名。研磨剤を塗った革に、刃や針をささっと擦るだけ。ヨーロッパの映画などで、たまに登場する。
Wikipediaだと、こんな感じのものが掲載されていた。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/7/70/Razor_and_strop.JPG/440px-Razor_and_strop.JPG

あれは買うのだろうか、と検索してみたところ、どうやら自作できる。
しかも家にあるものだけで作ることができた。
材料は、

  • 青棒
  • 革の端切れ
  • 接着剤

青棒、というのは油粘土みたいな研磨剤入りの塊で、金属をぴかぴかに磨く時などに使う。大昔に購入したけれど、全然減らない。最近は「ダイソー」でも見かけた。
端切れはたくさん持っている。同じ大きさの板切れに接着剤で貼り付けた。革の裏側(スェードっぽい側)を外にして、ぴったり貼る。
この革に油を垂らす。鉱物系の油なら何でも大丈夫だろう(菜種油だってたぶん平気だが、臭いや変質が気になる)ということで、ベビーオイルを使ってみた。ベビーオイル、万能である。
油でべたべたになった革に、青棒を擦りつける。しばらくすると、革が青棒色になってくる。少し油を足して、また青棒を塗る、と言う作業を気が済むまで進める。

これで完成。
青棒の染みこんだ裏革が、板に貼り付いている。
とりあえず名刺サイズで作り、小さな密閉容器で保管。

青棒 仕上用研磨剤 金属光沢鏡面仕上げに WHSUW0150 [並行輸入品]

 

H&H 研磨材 青棒 KN-1

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さきほど、少し使ってみた。
目打ちも、刃物も、ものすごく軽く使える。さっと革に入り込んで、怖いくらいだ。
ただし研ぐのが下手なのだろう、あっという間に切れ味が鈍る。ざくざく、という感触になる。
試しにカッターナイフの刃を研いでみたところ、これもよく切れるようになった。いわゆる「黒刃」に近い。

材料を1から揃えても、数百円で済む。制作時間は10分と少し。
メンテナンス道具を作るのは、独特の楽しみがある。丁寧に時間を過ごしている感じ。
次はもう少しだけ、趣きというか形にこだわった革砥を作りたい。といっても、今回の雑な名刺サイズのもので機能的には(今現在は)十分だから、次に作るのはいつになるのかわからない。

まあ、良い試みで、良い結果となった。
ナイフなどを研ぐのなら、もう少し大きいサイズのほうが良さそう。映画に出てくる床屋さんなどは、板に止めていない、ベルト状のものを使っていた。試していないが、液状研磨剤の「ピカール」を染みこませても使えそう。

ちなみに買っても安い。
革のものはルージュスティック付き、と書かれたものが多い。青砥、というくらいだから、かつては赤砥があったのではないか、と推測するが、よくわからない(調べない)。