長野旅行で買った自分用のお土産を食べることにする。
これ。
えご、である。
長野県民のエゴを抽出し固形化したもの、とパッケージには書いてある。長野の民はエゴの定期供出により自我を希薄にし、さらに他人のエゴを味わう行為を密やかな愉悦として共有することで、厳しい高地での生活に順応する優等種族として日本を支配云々、とも説明文にはある。
もちろん嘘だが。
おそらくエゴノリという海藻の加工品。
全国展開しているスーパーマーケットでも、少なくとも長野県北部では大抵買える。こんにゃくと豆腐の間くらいに置いてあることが多いようだ。パックのかたちも、ほぼ豆腐。
ブギーポップ・アンチテーゼ オルタナティヴ・エゴの乱逆 (電撃文庫)
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静岡県では、見かけたことがない。
似たようなものは瀬戸内から九州にもあった。九州の「おきうと(おきゅうと)」は好物である。
ほのかな海藻の風味と薄い味わい。
ここは長野県に敬意を表して、信州味噌を使った味噌だれを使いたい。酢味噌でもポン酢でも美味しいとは思うが、味噌を酒とみりんでゆるめ、すりごまと刻んだ大葉を混ぜたたれを少し付けると、なんともいえない鄙びた味がする。
先日の国際芸術祭で食べたもののなかで、トップクラスに美味しかったのが、この「えご」だった。
信濃大町の商店街にある数少ない郷土料理(郷土の食材を現代的にアレンジしたお洒落なお店)である「わちがい」で食べた。
正直な感想としては、「食とアート」を掲げるイベントなのだから、この種のお店がもっと存在すると思っていた。蕎麦を選択肢に入れない場合、信濃大町駅近辺では、この店に入れないと、トンカツ屋や“スナックみたいな店が提供する、普通の昼ご飯(チキンカツ定食とか)”だけしか存在しない。ランチ難民が生まれたのは、北アルプス国際芸術祭2017の反省点だと思う。
他にあの旅で記憶に残っているものとしては、鹿のステーキか。
街から車でほど近い「カイザー」という洋食店。
有名なお店らしく繁盛していた。といっても鹿を注文する人よりも、やたらと盛りのいいトンカツやフライ盛り合わせ定食を食べる人が目立つ。地元で愛されているお店のようだった。
観光客は、この鹿肉か、「ダムカレー」を注文する人が多い。
赤身の美味しさが味わえる、お手頃価格で食べ応えがあるステーキでした。また食べたい。