iPadを轢きかける

朝の通勤でバイパスを通る。
いつも分岐路のところで渋滞が発生している。長時間の停車はまず無いが、かなり速度が落ちる、そんな緩やかな渋滞に、毎日遭遇している。大抵、ぼんやり考え事をするか、眼鏡を拭いている。

 

今日はiPadを轢きそうになった。
前を走っている車の助手席側からタブレット、後でわかったのだがiPadが、ぼろっと落ちたのだ。
いや、僕は最初、雑誌か何かだと思ったのだが(でもとりあえず、ハンドルを切って避けた)、後ろの車の運転手が気付いて、急いで車を停めて、僕の前の車に声をかけたのだった。

その時点で(上手い具合に)車が完全に停止する位の渋滞となったため、前の車の女性がわざわざ謝りにきて、状況を知ったのだった。


まだチャイルドシートを使うような子供が助手席にいて、その子にiPadを使わせていたら、窓を開けて外にぽいっと放り投げてしまった、とのこと。
幸いというか何というか、カバーは傷だらけだったものの、中のiPadは無傷だった。

ちびっ子というのは、思いがけないことをする。
以前、やはり窓からビーチサンダルやシュノーケリング・セットをばらばら落としていた子がいた。それもちょうど、渋滞中だったので様子がわかったものの、クラクションを鳴らしてもなかなか気付かないし、気付いた頃には渋滞が終わっていて、車はもう停まれない状態だった。高価なものは無かったように見えたが、とにかく勿体ない話である。

とはいえ、今日のように車を降りてわざわざ知らせたり、あるいは謝りに来るのも、危険なことは確かなのだ。
後ろの車の人は、何かの職業ドライバーなのか、朝なのに強力なハンディ・ライトを点灯させて、路肩を歩いていた。

僕はというと、クラクションを鳴らすのが下手だったことが反省点といえる。おお何かトラブルだ、前の車に知らせなければ、と考えてからクラクション・ボタンを押すが、かなり強く押さないと音が出ないのだった。
そういえば、僕はまるでクラクションを使わない。今回のような非常時に、いきなり「ぴぴっぴぴっ」と小気味よく(脅すのではなく知らせるために)鳴らすのは、なかなか難しいのだった。

そういえば、何かの謝意を伝えるために、ぴっと短く鳴らす人が、少し前まではいたものだ。
最近は、クラクション=警音器はあくまで安全装備であり、意思疎通ツールとしては相応しくない。正しく伝わるかは未知数、そして周囲にも音が聞こえることも考えると、軽々しく使うべきではない、という説(?)が浸透し、あまり積極的に使うものではなくなった。
僕が免許を取った時にも既に、そういう風潮は少なからずあったと思う。
でも、昔はそれなりに、ぴっと軽く鳴らさないから、という理由で「礼儀を欠いている。非常識だ!」と不機嫌になる人がいたものだけれど、こう言ってはなんだけれど、礼儀を相手に押し付けたり、常識をルールだと思い込んでいる辺りで、かなり狭量な発想だと思う。
親切は自分が自分のやり方でするものだ、と祖母も言っていた。見知らぬ相手には、自分と違う親切のかたちがある。

 

しかし怖いものだ。
たぶん言葉もわからない歳の子供だろう。いつもの動画を見せていたのに(ごきげん!)、いきなり数万円のデバイスを窓から放り投げられてしまうのだ。前述のビーチサンダル廃棄マシーンはなかなか気付かなかったし、今日の車だってすぐには止まらなかった。今日の件では、おそらくちょっとしたパニックになったのだと思う。
僕が轢き潰さなくて、本当に良かった。

 

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