風邪の立冬

風邪をひいた。
昨日の寝る前に、なんだか喉の奥が痛いな、と思ったことは覚えている。朝になったら、痛みが酷くなっていた。

熱は少し高い程度。どうしようかと上司に連絡し、相談する。
今日はそれほど仕事が立て込んでいない、そして明日からは休みづらい仕事(僕が欠けたぶんのフォローがとても面倒かつ無駄が多い)になるため、休むならば今日がよろしい、という結論を受け、有難く休暇をとらせてもらう。

身体を使わない作業なら大丈夫だろう、年賀状のイラストくらいは描けるのではないか、と当初は目論んでいた。せっかくの有給休暇、無理しない程度には楽しみたい。
が、とりあえず寝てみてびっくり、昼前まで寝込んでしまった。いかにも風邪の時といった感じの奇妙な夢と浅い眠り。頭痛は増している。

午後になって予約していた病院へ。
普通の町医者だが、待合室・診察室のある棟と、検査処置をする棟がはっきり分かれている。待合室の受付は、若くて小綺麗にしていて、ちょっと愛想が無い、まあ普通の若者らしい人達だ。
対して、検査処置ルームは、「主」っぽいおばさん看護師の下に数人の看護師が配されていて、まるで雰囲気が違う。
ガンダムで例えると、待合室にいるのが連邦の士官学校を出たばかりの人達で、処置ルームにいるのが地上でくすぶっているジオンの残党。
この「主」様は仕事ができるらしいが、暇さえあれば大声で無駄話をしていて、処置台の上には常にカタログや雑誌が開いて置いてある。ちなみに今日は「新春ギフトカタログ」だった。カニを買おうかどうか同僚達と騒いでいた。
処置ルームにはカーテンで区切られた小さなベッドがいくつかあって、熱のある患者さんは待合時間に隔離される。カーテンの向こうから元気なおばさんの無駄話が聞こえてくると、なんだか悪い夢のような非現実感に襲われる。
今日は「測定器の記録用紙(レジのレシートみたいな感熱紙ロール)がうまく交換できない」と主様が騒いでいたので、「先を斜めに切って挿入すると上手くいくのでは?」と提案するなど、患者らしからぬ事をしてしまった。記録用紙はきちんと装填され、その功績によって僕は部屋の隅のベッド隔離から主様の話し相手へと昇格した。

こんな病院だから、待合室・若者グループと、処置ルーム・ベテラングループの間には大きな溝ができている。基本的なやりとりは患者を介して、あるいはインターフォンで行うくらいに徹底した乖離がある。物理的にも心理的にも、離れているのがよくわかる。
この2者を繋ぐのが、患者と、患者を世話してくれる看護師さん2名。いつも診察室とその周辺にいて、忙しく働いている。2つの棟を繋ぐ廊下でにこにこと働き、双方の愚痴を聞く。
彼女達の苦労はいかほどのものか。緩衝役というのは評価されづらいが、組織にとって欠かせない。僕は心情的には、この2名を支持する。

 

 

さて、そんなプチ社会実験じみた病院で風邪の診断を受け、薬を処方してもらい、今はもう寝るだけの状況。体調は朝より悪いのではないか。よくわからないから、寝ます。おやすみなさい。