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映画『帰ってきたヒトラー』と、煎茶のかき氷。

抹茶 氷菓 映画 静岡

https://www.instagram.com/p/BIMUtiAByU_/

静岡の街に行って買い物をして(収穫無し)、合間にパン屋のランチを食べたり、お茶屋さんで煎茶のかき氷を食べて過ごした。

かき氷は「chagama」という、新しいスタイルを模索しているようなお洒落なお茶の小売店で、夏のメニューとして売り出したもの。この店は待っている間に、好きなお茶(50種類くらいはありそうな、各種の緑茶)を淹れてくれる。ハーブの香りを移した現代的なものから、高級な玉露までいろいろ選べるし、頼めばおすすめを見繕ってくれる。かなり本格的な煎茶の淹れ方で、見ていて楽しい。でも僕はお茶を買わないので、いつも恐縮してしまう。
かき氷は、氷自体にも煎茶が入っている感じ。氷はふんわりしていて、溶けてくるとジェラートのよう。かかっている蜜も煎茶を浸したような、上品なお茶の風味がする。小豆餡と白玉団子、それに蜜漬けの茶葉、それぞれ面白い味わい。宇治金時とは全然違う、これはこれでとても素晴らしい品。

 

 

 

映画『帰ってきたヒトラー』の感想は以下の通り。例によって別のSNS(Filmarks)からの引用。

ポスターに書かれた「笑うな危険」という惹句そのままの、興味深い作品。

では、何が危険か。
見ている僕達が危険なのだ。
どう危険か。
僕達は、歴史や正義を取捨選択できるから危険なのだ。たぶんヒトラー氏よりも。
とても居心地の悪い話だ。でも、とびきり興味深い、いかにも今の時代らしい作品でもあった。


欧州では社会現象にもなった原作小説とは、ちょっと趣きが異なる。小説では「現代に蘇ったヒトラー総統」の、つまり世界をかき回す側が主体だった物語が、映画ではかき回されるドイツ人達の群像劇として描かれている。終盤では作中作として原作本が登場したりと、終わらない悪夢というか、入れ子構造の現実が組み込まれていたりして、映画ならではの工夫が盛りだくさん。
盛りだくさんといえば、過去の演説やヒトラー映画のパロディも、きちんと「笑えて、でも現実をえぐる」ような使い方をされていて素晴らしい。
特に『ヒトラー最後の12日間』の有名なシーン、あれをこのメンバーでやるとは、と唸ってしまった。

本作に登場するヒトラー総統は、基本的に好人物である。感覚は古いし、自分のスタイルは曲げないが(狂っている、と言っていいだろう)、だが憎むべき人物ではない。移民問題に相づちを打ち、握手やサインや写真撮影(もちろんスマホだ)に応え、ユダヤ人に対してさえも丁寧に振る舞う。適応力があり、自分の役割を意識し、そして徹底的に愛国者だ。
その振る舞いは不謹慎かつ辛口だけれど、TVに出てさえ「めっちゃヤバい芸人」程度で通ってしまう、そんな人間だからこそ、善悪を単純に分けたがる人達には、「言っていることに一理ある」「確かに乱暴だが、でも頷ける部分はあるよね」と、その存在を否定できない。逆に、自分達の代弁者として、支持さえしてしまう。
独裁者のカリスマが民衆を動かすのではなくて、民衆が独裁者に力を預ける瞬間だ。

これはまさに、戦争を体験していない人間が、その歴史と記録を取捨選択する怖さそのもの。
「認められるところ」だけを自分の色眼鏡で再構築する狡さ。そして「目から鱗」現象を、真実だと思い込んでしまう不見識。
戦争だけではない、僕達日本人が、たった数年前に、あの震災と原発事故の時に、どれだけのデマを信じ、扇動者を支持したか。「確かにあの人は科学的には間違っていたかもしれない。でも危機意識と善意は誰よりも熱かった」なんて言える人間のせいで、どれだけの不幸があっただろう。
僕達は、その身に体験していないことは、すぐに都合良く“つまみ食い”する。声の大きな人間を「器」に、自分達の感情と直感を肯定できるのならば何だって差し出してしまう。

それが最初に書いた、「危険」だ。
ヒトラーの記憶が薄れた昨今、この怖さが形になりそうな予感こそ、この映画にリアリティと居心地の悪さを与えている。

まあ、そんなに目くじら立てる難しい映画ではないです。ただし欧州情勢を、普段のニュースや新聞で知っている程度でいいので理解していると、より楽しめる。ヒトラーが「緑の党」を評価し、新保守政党を小馬鹿にし、ネオナチをただの不良集団と見做すあたり、声を出して笑ってしまった。

この映画は、げらげらと笑いながら、こんなことを突きつけてくる。
「お前達は例外なく、一歩間違えると親衛隊だ」
自分も笑いながら(実際に映画館は笑いが絶えなかった)、それを納得してしまう。させられてしまう。だから、お薦めします。


親衛隊になりたくなかったら、どうすればいい?せめて「追い込まれないように」だけは、普段から努めよう。帰宅して、欧州の悲惨な事件報道をTVで眺めながら、そんな事を考えた。

 


さて、今のロシアには、アメリカには、そして日本には、誰がタイムスリップしたら“面白い”だろう。

 

 

帰ってきたヒトラー 上 (河出文庫 ウ 7-1)

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帰ってきたヒトラー 下 (河出文庫)

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帰ってきたヒトラー 上下合本版 (河出文庫)

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劇画ヒットラー (ちくま文庫)

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では寝ます。
実はさきほど、うっかり30分程度だけれど、しっかり寝てしまった。こういう時は寝付きにくい。が、寝ます。でないと明日が台無しになるとゴーストが囁いています。おやすみなさい。