丸源ラーメンに!

夕食は「丸源ラーメン」という店で済ませた。

しっかり残業して、しかも帰宅しても誰もいない、という状況。何かを作る元気が無い。ちょっと身体に悪そうなものを食べてみたい気分だった。

国道沿いのチェーン店のラーメン屋には縁が無くて、特にこの「丸源」は、よく見かけるけれど行った記憶が無い。たぶん行ったことはあると思うのだが、全く覚えていない。だから新鮮な気持ちで入ることができた。

ラーメンは美味しかった。
最もノーマルなラーメンは、豚バラ肉の薄切りを茹でたものが、チャーシューの代わりになっていた。それに葱を追加した品を注文。こってりしたスープと葱が良い組み合わせ。できれば麺を抜いて、代わりに野菜をたっぷり入れて食べたいくらいに味が濃かった。

気になったのが、店員さん達のかけごえ。
僕のテーブルを担当した人が、「今日は、丸源にっ!」と大声をはりあげると、店のあちこちに散らばった他の店員が「ようこそっ!」と唱和するのだ。
これ、誰が喜ぶのだろう。
店のキャラクター付け戦略なのか。
こういう、「ルールで決められたオモテナシ」は苦手だ。
頭を使っていれば、こんな馬鹿みたいな接客はできない。客のことを考えているのなら、こんなふうに見えない相手に決まり文句を遠くから投げかけることなんてしない。

そういえば、10年くらい前だっただろうか。
東京の表参道から渋谷に行く途中にあったベトナムとフランスの折衷様式のカフェバーでは、注文を伝えるたびに、厨房のスタッフが「ウィー!」「ウィー!」と唱和していた。さすがに東京なので、外国人のお客さんも多く、みんなくすくす笑っていた。小さな声で「うぃー」と参加する人だっていた。ちなみにウェイターも「ウィー!」と唱える。客への回答は日本語だが、そういう事は気にならないみたいだった。
あれもちょっと恥ずかしい。日本語でぎずぎすしたやりとりをしていた厨房で、その時だけロボットのように「ウィー!」である。自分の担当料理でもないのに、「ウィー!」だ。この前通ったら、その店は無くなっていた。

というわけで、丸源ラーメンは美味しかった。それに安かった。
でも「丸源ラーメンに!」「ようこそ!」は不要だ。不快だ、とまではいかないまでも、あれはスタッフと客を無視したやり方だと思うのだ。

 

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