映画『ピエロがお前を嘲笑う』



仕事を定時で終えて、映画を観に静岡市へ。
映画を観るのは休日ばかりの1年間だった。たぶん心身ともに余裕が無かったのだろう。この1週間は、ずいぶんのんびりしていたし、そう過ごすように意識していたので、週末の夜に街に行く意欲があった。映画館でも寝なかった。

 

 

さて、この『ピエロがお前を嘲笑う』は、いわゆる青年ハッカー(クラッカー)のお話。例によってギークでナードな青年が、徐々に取り返しのつかない世界へと入り込んでいく。そして機転と技術と仲間による大転換を迎える、という感じ。居場所の無い(しょんぼりした)若者が犯罪に関わり、それなりの決着をつける、という、昔からよくあるタイプの映画。

主人公青年が捜査官へ独白する形で話が進み、最後のほうで大きな物語的な”仕掛け”が姿を現す。といってもこれはあからさまな引っ掛けで、推理小説などを読み慣れている人ならば「叙述トリックの映像版だな」と気付く。正直、そこまでの話ならつまらない。感心はするけれど、凡庸で、穴も多い。少なくとも僕達にはトリックだが、作品世界の人達はすぐ気付くだろう。だから「まだ何かあるな」と考える。上映時間的にも、まだ何かあるのは確か。
そこから最後の機転、さらなる仕掛けが見事で、全体としては3重の「ハッキング」が観客には行われていることになる(これはもう一人の主人公である捜査官の立ち位置でもある)。

電脳戦というか電網戦の描写は昔ながらのもので、音楽だって「今時の若者向け映画」らしい、ありきたりなもの。しかし基本的にドイツ語とドイツの楽曲が使われているためか、全体的な雰囲気は「ティーンエイジャー向けハリウッド映画」なのだが、どこか新鮮という不思議な面白みもあった。
演出も雰囲気もミニシアターっぽくはないけれど、きちんと観ないと楽しめないタイプの作品だと思う。

「もう一度見返せば謎が解ける」みたいなつまらない形にしなかったのも好感が持てた。邦画で何度かその種の仕掛けに遭遇して、しかも見返したいほどに面白くなかった。あれは辛かった(作品名は秘す)。
いや、今調べたら「リピーター割引」をやっている映画館もあるらしいけれど、別に見返さなくても何ら問題のない作りになっているので、大丈夫です。

 

静岡市サールナートホールでの上映は、今夜が最後。だから無理をして観に行ったのではあるが、これは観て良かった。

 

https://www.instagram.com/p/BAR09r5mMR0/

映画の後に、つい良い気分になって、見知らぬカフェバー的な店で、コーヒーとスイーツを楽しんでしまったくらいには気に入った映画だった。コーヒーも甘い物も、特別に美味ではなかったけれど、それはそれとして、楽しい夜となった。

 

 

攻殻機動隊 (1)    KCデラックス

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