小指の傷

天冥の標IX PART1──ヒトであるヒトとないヒトと (ハヤカワ文庫)

今日は、職場の「大掃除の日」だった。
ほとんど通常業務は無くて、設備を止めてメンテナンスしたり、細々とした改良をする。それだけでなく、というよりもそういう「仕事っぽいこと」はあえてやらずに、1年に1回の、徹底的な清掃と整理整頓にできるだけ時間を割く、そういう日。

僕は掃除が好きで、特に拭いたり磨いたりする作業なら、延々と続けられる。
ゴミ捨ても楽しい。特に職場は不要物が多いし、それらは基本的に他人のものばかりだから、徹底的に捨ててしまう。下手をすると、自分の部屋の大掃除よりも気分が良い。

 

さてその大掃除だが、朝一番にまず指先を深く切ってしまった。
カレンダーを新しくしようとした際に、すぱっと切れたのだ。
切れた時は、特に痛くはなかった。気付かずに作業していて、来年のカレンダーに血が付いていて、なにやら左手の小指がぬるぬるしている、とわかったくらい。

ただし、その後は大変だった。
傷はなかなか閉じないし(そういう位置だったのだろう)、絆創膏を貼って、手袋をしても、やっぱり手を動かす作業の時は気になる。ごしごしする、ぐりぐりする、そんな作業ばかりだったから、小指をかばうのが実に面倒。
かといって、いつも酸やアルカリや金属や大がかりな設備や高圧電流といった「明らかに危険なもの」ばかり扱っている職場で、この程度の傷で労災扱いされたくはない。危険なものが多い職場というのは、安全にはことのほかうるさいし、場合によっては「今後はカレンダーの更新および切り離し作業は2名以上で行い、その際は申請と承認がうんたらかんたら」となってしまう。危険度のわりに、クレバーな職場ではないのだ。

そしてその傷、僕のクオリティオブライフに、今も悪影響を及ぼしている。
具体的に言うと、キーボードの操作が失敗ばかり。左手小指を「ある程度使わない」だけで、なんだかミスタイプが激増してしまっていて、だからもう入力はしたくない。
というわけで、唐突に大掃除の件はおしまい。

 

ところでクリスマス。
僕は食生活が充実するので好きなイベントだ。
そして、いつの間にか宗教行事が変容して、ただの年間行事というか「俺らの祭」になった点も素晴らしい。

我が国では、数年おきに「本場のChristmas」の一部が導入されるが(そのほうがお洒落なのだろう)、どうしても日本の土着文化である「X'masあるいはクリスマス」になってしまう辺りが良いではないか。
フランスの「Macaron」が日本に渡来し「マカロン」に、そしてお茶菓子の「マコロン」へと変容していった感じか。あるいはコンビニエンスストアでカラフルな「マカロン」が当たり前に買えるようになった事にも似た味わい深さがある。

もはやキリストは不要なのだ。チキンとケーキの祭日だと、職場のポーランド人には説明している。
個人的には、もう少し年末年始とはずらして貰えると有難いのだけれど。日本人ならば、日付の変更くらいはやり遂げると思う。商業的な理由があれば、だが。

 

SFまで10万光年以上

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ハーモニー ハヤカワ文庫JA

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