サンカン・シオンは突然に

 

今日はものすごく寒かった。
気温としては、もちろん真冬のほうが低い。でも今日は、薄着だった。

朝は特に問題無かった。
昨日までは厚いコートを着ていたが、今朝からは、冬っぽい服の重ね着に変えてみた。コートの代わりに、ざっくりしたウールのカーディガン。マフラーも手袋も無し。

それが、夜の帰宅時には、それはもう徹底的に寒くて、大変だった。
帰宅、といっても職場の敷地を歩いて外縁部にある駐車場までの10分足らずなのだけれど、その車までの距離が辛い。ロボットアニメでいうところの「エネルギー切れまであと3秒、2秒、1秒」の辺りで、ようやく車のシートに座れた。それくらいに限界だった。

手袋やマフラーは、日曜日に片付けてしまった(休日の自転車移動用には使うかもしれない)。ちょっと見込みが外れた、そんな日だった。

 

 

というか今日は、昼過ぎから寒かった。
冷たい風がびゅうびゅう吹いて、建物間の移動にすら難儀した。

そんな最近の気温変化を「三寒四温だね」と、年若き同僚に言ったところ、「ああ、昔の言い方ですね」と言われてしまった。

確かに、若い人には馴染みのない言葉かもしれない。僕だって20代の頃には、言わなかったと思う。歳をとると「寒い嫌だ寒い嫌だ寒い嫌だ」とは言わず、なにかしら小難しい物言いをするようになる。

しかしこの「ああ、昔の言い方ですね」という言葉には、なんとなく「昭和の人間の言葉ですね」というニュアンスがあった。「ああ、『ラブ・ストーリーは突然に』とか『池袋ウエストゲートパーク』の時代の言葉ですね」といった“含み”がある。この若き同僚は、そういう(大雑把な)時代認識を持っているし、それを毎日のように伝えてくる。最初は訂正していたが、最近はもう「あの時代の人間」として、まるごと受け止めることにしている。

たぶん「僕が若い頃は学生運動が盛んで、よく機動隊と衝突したものだ」とか言ったら、信じてしまうだろう。「進駐軍が…」でも信じそうなところがある。

若い人、というのは基本的にそういうものなのだろう。僕だってそうだった。実のところ、今でも例えば「アメリカが月に宇宙船を飛ばしていた時代」に、明確なイメージを持てないでいる。「自分の生まれる前の時代」については、印象や出来事を整理して形にするのは、本当に難しい。

でも「三寒四温」って、良い言葉だと思う。「サンカン・シオン」と書けば、あの懐かしい90年代のレディース・コミック(やまじえびね魚喃キリコやまだないと)の雰囲気があって、悪くない。

 

 

そんなわけで、今日の夕方から夜にかけての残業では、頭の中に「ラブ・ストーリーは突然に」の知っている部分だけが、延々と再生されていた。
この「頭の中に音楽が流れ続ける現象」は、かつて親しい人に言ってみたところ、軽い精神疾患を疑われた。だからもう、人前では言わない事にしている。
もちろん年若い同僚にも言わない。たぶん老化現象の一種と看做されるだろうから。

 

 

 

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