アンテナの消失

 

今日は出張。
「新社会人のためのサイエンス&インダストリーセミナー」みたいなものに参加した。
あらゆる点で新社会人ではない、くたびれた中途採用者である僕でも、一応は「新人」であるので、こういう講習めいたイベントへの参加が求められる。会社としては、業界団体や各種協会の催しに「フレッシュマン」を送り込むことも大切な「お付き合い」なのだろう。
長い時間を座っているのは苦痛だけれど、座っているだけで給金が貰えるのならば、週に1回くらいはセミナーを受けたいものだ。つまり、楽な仕事だった。

楽だが、セミナーの内容自体は最悪だった。
老講師の言っていることが、嘘と事実誤認に溢れている。なるほど天下りをこじらせるとこうなるのか、という悪い実例を夕方まで聞き続けるのは、苦痛以外の何物でもない。

数多い嘘のうち、1つだけ書く。

「…以前は特定の機能に特化した、専門のハードウェアを用意するのが当たり前でした。
今は高性能な機械のおかげで、ソフトウェアだけでほとんどの機能がまかなえています。

例えば皆さんの持っているスマートフォンを見てみましょう。電波状態を示す、アンテナのアイコンが画面上部にありますね。これ、少し前までは実際にアンテナが必要だったんです。これ1999年のカタログです。ほらどの機種にも、物理的なアンテナが立っていますね。

これが今はプログラミングだけで実装できているわけで、だから今はアンテナが無くても通話できるのです。
私には見当もつきませんが、いずれカメラやテレビもプログラムだけで成り立つ時代が来るのでしょう…」

こんな電波的な話を聞いて、最後に「感想を書く時間」があるのだから困ってしまう。
いくつかの間違いを訂正したうえで「今日の素晴らしいお話を、自らの成長への糧として云々」と締めくくってみた(本日で最も頭を使った時間であり、技術的挑戦だったといえる)。

しかしこの人、間違いなんて気にしないで、また次の講演会でも同じ内容を話しそう。指摘しただけで怒りそうな人でもある。でも聴衆は立場の弱い「フレッシュマン」だから指摘自体が少なく、結局はどうなっても嘘と事実誤認を吐き続けて生涯を終える、そういうタイプの老人に、敵はいない。
金属化学工業の元重鎮にして生涯現役(自称)の現在は業界団体顧問としては恥ずかしいと思うが、それは僕の問題ではない。

それにしても「OHPとOHPシートによるプレゼンテーション」なんて、何十年ぶりに見ただろうか(最後に見たのは交通安全講習会だった)。
若い人達には新鮮だったのかもしれない。サブカル気味の若者なら「OHPシート、やっぱ違うよね。透明の差し棒とか、なごむよねー」とか言うだろう。
「オーバーヘッド・プロジェクター」って、格好良い名前だとは思う。バンド名や、クラブイベントに使いやすいのではないか。「OHPナイトin Shizuoka Japan」とか。 

エーワン OHPフィルム インクジェットプリンタ用 ノーカット 10枚 27077

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