添香居の刀削キノコのパチ麺

藤枝市の国道沿いに、小さな店ができていた。
正直なところぱっとしない見た目の、「誰が行くんだろう」と気にはなるけれど自分ではなかなか行きづらい店。まあ、田舎の国道沿いには珍しくない風景ではある。
刀削麺」のノボリが立っているから、たぶん中華料理屋。

そんな店だが、売り物の「刀削麺」は気になる。
かなり昔に、少しだけ流行したような、おぼろげな記憶がある。大きな街に行くと食べられる、中華料理のなかでも珍しい品だった。いつの間にか刀削麺を扱う店は減り、すっかり忘れていた。

僕はこの麺料理が好きで、昔はよく食べていた。
つるりとした麺と、中国風の香辛料が効いた味は、「珍しいものを食べている」という実感があった。もちろん作る様子も楽しい。家では食べられない味、でもある。
ラーメンのつもりで食べると、ちょっと勝手が違って、だから「なんだこれ」と言う人達もいたけれど、僕はその違いこそ醍醐味だと思っている。たまにいますね、そういうピントのずれた文句を言う人が。

 

 

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この小さな店は、「添香居」という。読み方はわからない。

今日の昼食に、行ってみた。

麺類は全て刀削麺、他に一品料理(酒のつまみ的なものが多い)と、焼き餃子と炒飯がある。刀削麺の種類は多く、「キクラゲとキュウリ麺」などの、やや変わったものもあった。

僕は「刀削キノコのパチ麺」なる品を注文した。
キノコを使った刀削麺で、少し辛い、そう注文の際に説明された。「パチ麺」が何なのかは、聞き忘れた。

刀削麺は茹で上がりが早い。あっという間にテーブルに届いたそれは、見た感じは「昔ながらのラーメン屋で食べる醤油ラーメン」に近い。
肉味噌というか、椎茸を使った、辛くてしょっぱいペーストが、中心に盛られている。全体から香る中国風香辛料の香り(花椒八角)は、このペーストに由来しているようだ。味はさっぱりした、普通の醤油ラーメン。辛味は、胡椒を入れすぎたラーメン程度であり、苦手な人でなければ美味しいと感じるだろう。
昨今の日本に蔓延する「脂と旨味と塩気が強いスープ」を使ったラーメンに比べると、全体的にあっさりしている。
麺は、確かに刀削麺。ちょっと短く、ワンタンのようにつるりとして、でも厚い部分はコシがあった。レンゲを駆使して食べるタイプの麺だといえる。
他に叉焼やメンマなどが具材として乗っている。なぜか海苔も添えられている。

個人的には、もう少し異国風のクセや匂いが強くても良かった。とはいえ、十分に美味しいし、多くの老若男女が抵抗なく楽しめる味付けとしては、良いアレンジだとも思う。
これは良い店を見つけた、と少しほくほくしている。

残念なのが、この「刀削」の作業が、ほとんど見えなかったこと。厨房の隅のほうで、ぱぱっと手短に済ませてしまうのだ。パフォーマンスとしては、やはりカウンターから見えるところで「刀削」して欲しい。

 

しかし「パチ麺」って何なのだろう。本当に、見当もつかない。
日本語ができる、でもそれほど達者では無い感じの店主ひとりの店だから、最後まで聞けずじまいだった。
次は空いている時間に行こうと考えている。今日だって大繁盛、という訳ではなかったが、それでも1人で切り盛りしているところには声をかけづらい。
そもそも僕には、飲食店で店員に声をかける習慣が無い。でも平気な顔で「この、キノコのパチ麺ください」と言えてしまう辺り、自分でも自分がよくわからない。実は「刀削」の読み方も知らないのだ(日本語変換ソフトによると“とうさくめん”だが、店主は別の発音をしていた気がする)。

 

 

場所は藤枝警察署から静岡方向に向かい、緑町交差点を過ぎてすぐ左側。昔は別の中華料理屋があったところ。日産自動車静岡銀行まで行くと、行き過ぎ。たぶん夜のほうが混む。

〒426-0016 静岡県藤枝市郡1丁目1 - Google マップ