常世への舟

白木 料理舟 2.5尺

職場からの帰り道、ちょっと見慣れないものを見た。

喪服を着た人達が、白木の舟を運んでいたのだ。
舟盛りに使うにはやや大きい、しかし遺体は入らないし、普通の骨壷(を入れた桐箱)も収まらない。大人が4人くらいで楽に運べるサイズの、平らな和船。持ち手をきちんと付ければ、子供神輿に使えそう。

そんな舟を先頭に、喪服の人達(ほとんどが老人だった)が行列を作って歩いていく。近くには葬祭会館があるし、たぶん行く先も葬祭業者のマイクロバスだったから、やはり葬式の類だろう。

でもなぜ20時過ぎなのか。そしてあの舟は何なのか。ちらっと検索などしてみたが、まだよくわからない。

穏健かつ小規模な、そして伝統がある新興宗教団体が行う、独自形式の葬式という可能性を思いついたけれど、実際のところはよくわからない。

 

新興宗教といえば、今朝は新興宗教のイベントに巻き込まれて、危うく遅刻しそうになった。

思うところあって、昨日から通勤ルートを変更した。まだ土地勘も無い辺りを走っている時は、カーナビがあるとはいえ、やや心もとない。
そんな状況で運転している時に、誘導員っぽい人に「はいここから徐行、そのまま曲がって、奥を通って下さいね」と声をかけられたのだ。事故か工事か、とにかく昨日までの道が使えないのだろう、と前方の車を追いかけて、私道らしき道を曲がった。

そこは空き地だった。
早朝だというのに、かなりの車が停まっている。きちんと奥から、順序良く停めるのがルールらしい。
しかし僕は通勤の途上なのだ。これは間違いだろうと、急いで出口方向へと進路を向ける。
そして出口付近で、誘導員の人に道を塞がれてしまった。「なぜこの敷地を通るのか?今日はナントカ祭の早朝祈祷であり、もうすぐ儀式が始まってしまうのに」といった事を、わりと非難めいた口調で言われた。
「いや僕は違うんです誘導に従ったらここに迷い込んでしまって、だから」と釈明した辺りで「あーハタナカさんかー。ハタナカさん、見境なく誘導しちゃうもんな。あれじゃ交通整理じゃなくて検問だよ。悪かったね。通ってよろしい」と言われ、とにかく急いでいたので特に何も言わずにその場を去ったのだが、今思うと少し怒っていい状況だと思う。なんだか失礼な人達だった。

とはいえ、なかなか赤の他人には感情はぶつけられない。怒っちゃう人も少なくは無いけれど(車に乗っている間だけ凶暴になる人もいる)僕はたいてい、困ってしまうだけ。しかも困惑は後でやってくる。

それにしても大きな駐車場だった。中規模の食品会社くらいあったと思う。
講堂か教会か祠か、とにかくその種の建物が横に見えたけれど、とても参加者全員が入れるようには思えない。野外イベントだったのかもしれない。

 

さて、今日はもう寝る。
疲れたし、明日は通院と買い物と映画鑑賞と、それから蔵書の整理がある。夜更かしはしない。
ではおやすみなさい。
僕にはよくわからない宗教(朝に祈祷をする宗教と、舟を運ぶ宗教)の人達も、もう寝たのではないか。金曜日は早く寝るに限る。特に疲労したのに眠れない、あるいは眠らないでいると、たいてい土曜日にしわ寄せが来る。それはたぶん、信じる神様とは関係が無いと思う。神様はその種の実用的なマネジメントと気配りまではしてくれないのだから。

 

 

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エホバの証人の子どもたち―信仰の子らが語る、本当の姿

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