ベルギー&カナダ

海沿いのスーパーマーケットで、バックパッカーらしきカップルを見かけた。

若くて、がっしりして、薄着の2人。見るからに貧乏そうで、「金は無いが暇はある」を体現したような旅人達だった。

いったいなんでこんな観光名所でも無いところにいるのだ、と不思議に思い、目に留まったのだ。
宿だって無いし、歩いて楽しい道も珍しい風景も無い、田舎とも都会ともいえない中途半端な土地なのだ。でもまあ、僕だって若いころは何処に行っても楽しかったし、今でも旅行といえば3割から5割は、その類の“旅情に欠ける”土地をふらふらと歩いているのだから、旅人というのはそういうものなのだと思う。特にバックパッカーともなれば、土地を彷徨うことは観光名所を巡るよりも重要な体験なのだろう。

彼らはスーパーマーケットの隅にあるテーブルと電子レンジと自動販売機があるコーナー(ご自由にお使いください、と書かれているが、ゲーム機を抱えた小学生以外を見たことが無いコーナー)で、食事の支度をしているところだった。

まず、黄緑色のメロンパンを横にスライスする。ハンバーガーバンズみたいな形になったメロンパンに、チューブ入りのチョコレートクリームを塗りつけ、チーズを挟む。さらに薄切りのリンゴと、リンゴの皮も挟み込む。最後に電子レンジで加熱して、完成。

あまり美味しそうには見えない。西洋人は、特に西洋人のバックパッカーは、食に関して無頓着なところがある、と思う。カロリー摂取のための食事、といった感じ。明日も同じものを食べて、というかメロンパンが尽きるまでは同様の品が続きそうな人達。

ほとんど無言で作業(調理というより、これは作業に見えた)をこなし、各人が2個ずつのホットメロンパン・チョコレート&チーズ・アップルサンドを食べ、地図か何かを眺めて、その後はぼんやりしていた。
メロンパンはこの店で買ったもの。たぶん6個入りで198円くらいの廉価なものだろう。チーズやチョコレートクリーム、それにカット済みのリンゴは、それぞれジップロックに入っていた。

喉が渇いたのか、近くにあった「電子水」のタンクや、その横の製氷機(自由に使用して良いが、保冷用のもので、飲食には使えない)を見て、何やら話し合っていた。

そのうち、レジにいた副店長っぽい人が、ペットボトルの緑茶2本と、缶コーヒー2本を持って彼らに近づき、少し英語で会話をしはじめた。何を話しているのかはよくわからない。
「どこから来たの?」「オーサカ、関西国際空港。私たちは久能山東照宮に行きたい」「もう時間が遅いし、かなり遠い。徒歩で行くのは無理だと思う」「わかった。コーヒーとティーをありがとう」「そうだバナナもあるよ(バナナを渡す)。これは大豆(子供用の福豆を渡す)。ところで今夜の宿は?目的地は?」「ありがとう。でも大丈夫」「そうか。良い旅を!」「ありがとう。もう行くよ」みたいな会話だった。

いいなあ、と思う。気になった人にこうしてコミュニケーションできるなんて格好良い。店の品を数点、ほいほいっと渡せるだけの機転と権限(たぶんあとで支払いをするのだろうが)があって、英語が話せて、でもあまり押し付けがましくない。もしかしてこの副店長らしき人も、昔はバックパッカーだったのかな、と思わせる振る舞いだった。

 

それにしても何処から来たのだろう、あの2人は。
もちろん「関西国際空港」から前の話。
ザックにはベルギーとカナダの国旗が貼ってあった。ベルギーからカナダへ行く途上で日本に立ち寄るのはずいぶん遠回りに思える。たぶん、彼らの出身国がベルギーとカナダなのだろう。でもなにしろ若者の貧乏旅行だから、どんな理由なのかは定かではない。
どういうわけか「統合軍」の缶バッジが数個、同じくザックに付いていた。たぶん「超時空要塞マクロス」の「統合軍」だと思う。だからもしかしたら、聖地巡礼的な人達という可能性もある。しかしアニメ・マンガ好きが来て喜ぶ場所じゃないと思うのだが(超時空要塞マクロス的な要素に欠ける町なのだ)、それはそれとして静岡の田舎町を楽しんでくれていたら、僕としては嬉しい。

 

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今日のトピックとしては、他には「天丼を食べた」と「模様替えをした」があるが、それは割愛する。特に書き残しておきたい類の話ではないし、もう眠いので。

 

 

エシカルンテ(1) (イブニングKC)

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