桜でんぶと、創造主のバグ

「…サクラデ?何です?」
「だからさ、『桜でんぶ』だよ。それくらい知ってるだろ、優等生」
「優等生はやめてください。あれですよね、デコ弁や太巻き寿司に入ってる、甘くて、ピンク色で、えーと『湯通しして脂を抜いた白身魚を乾煎りしたのち砂糖で調味し、食用色素で染めて作る食品』です」
「またインターネットか。じゃあ聞くが、例の『恵方巻き』、ありゃ何だ?」
「何だ、って、恵方巻きは恵方巻きですよ。ほらこの…」
「検索はいいから考えろ。恵方巻きはいつ食べる」
「もちろん節分です」
「節分の食い物に『桜』をあしらうのか。平成生まれの季節感は凄えな」
「今度は皮肉ですか?昔からそういうものですし、見た目が鮮やかになって楽しいじゃないですか」
「昔から?お前、子供の頃に恵方巻きを食べたか?」
「そうですね。あんまり覚えてないなあ。でも節分といえば恵方巻きが常識ですよ、あっ自分はサラダ巻き派ですけど」
「あれはな、『造られた伝統』だ。俺が若い頃には無かった。少なくとも日本全国で阿呆みたいに今年の恵方だなんて騒がなかった。お前さんが大好きなインターネットには書かれていない歴史さ」
「今日は変ですよ、先輩。つまりバレンタインデーは製菓業界の…みたいな話ですよね。それがどうかしたんですか?」
「もう1つ質問だ。この街で売ってる桜でんぶは何色だ?」
「この街で桜でんぶなら、寺前町の田中屋のが有名ですよね。あれはピンクというより白です。あれ?」
「そうだ。ようやく気づいたか?本来の『桜でんぶ』は、というよりそもそも桜色っていうのは、ああいう色だ。薄桃色よりも淡いから『桜』なんだよ。さらに言うと、田中屋も貞宝亭も、この街のそれは、じゃりじゃりと砂糖の粒が混じるほど甘くは作らない。ちなみに駿河商店の店主が春先の糸縒鯛から作る逸品が、俺の好物だ」
「…整理します。『恵方巻き』の伝統そのものが創作であること。そして『恵方巻きに桜でんぶ』のミスマッチ、そして『桜でんぶ』そのものへの疑念。ああ、そういえば『桜でんぶを喜ぶ人』なんて見たことが無いですが、でも恵方巻きには入っています」
「そこまでわかれば上出来だ。俺達はこれを、バグだと考えている」
「バグ?いきなり何の話ですか?それに“俺達”って?」
「まあ聞け。もはや常識となった風習に生じる些細な齟齬。文化さえ造りあげる連中にしては杜撰な仕事だとは思わんか。この場合、疑うべきはクリエイターの能力じゃあない。そこに何らかの『意図』がある。罠かもしれんし、単なる悪巫山戯の可能性もある。だが俺達はこれを『創造主のバグ』と呼んで…」
「ちょっと待ってください。話が大きすぎますし、仮定や推論が多すぎます。常識を疑う、にも限度があります。創造主って誰です?」
「そうか。まあ最初はそう思うよな。それじゃあ聞くが、さっきから外にいる連中は何だ?なんでこんな場所に、AEONやセブン&アイ・ホールディングスの人間がうろついている?待て、まだ動くな。感付かれる前に確認しろ。相手の人数と装備は?」
「見えているだけで8人。全員が軽武装。おそらく拳銃か軽機関銃。裏口は塞がれてると考えるのが妥当です」
「さすがエリート。だが90点だ。駅ビルの屋上に狙撃手がいる。出た瞬間に頭に大穴が開くぞ」
「どうするんです。多勢に無勢、出口無し。それにどうしてこの場所が?」
「まあ落ち着け。ほらコーヒーが冷めちまう。だからさ、『俺達』って言っただろう。じきに応援が来る。それから場所がばれたのはお前さんの検索が原因だな。ネットワークは監視されてる、って学校で習ったろ。とりあえず電源はOFFだ」
「色々と聞きたいことはありますが、とにかく今は生き延びる、それから先に考える、そういう状況ですね」
「わかってきたじゃねえか。ここは俺達の街だ。連中よりは地の利がある。おまけに主席卒業のエリートが腹を括ったんだ、負ける要素が無いさ。説明不足で悪いが、ここからが本当の仕事だ。さあ教科書通りに行こう、優等生」
「それから先輩」
「まだ何かあるのか?」
「優等生はやめてください。それとエリートも」
「…考えとく」

 

 

 

 

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)


…みたいな夢を見た。
午前中に通院。待ち時間は2時間、診療は4分。
静岡の街に買い物に行き、靴を購入。
漫画(ダンジョン飯:九井諒子)がどうしても見つからずに、大型書店から漫画専門店まで5店を探して、最後にふと閃いて、ヴィレッジヴァンガード(サブカルの墓場)に行ったら売れ残っていて、それはまあ良かったのだけれど、とにかく疲れた。
夕食の後から猛烈に眠くなって、ほんのすこしだけ横になったら、今まで寝てしまった。その時の夢。自分が登場人物では無い、しかし地元が舞台の夢は珍しい。映像はさっぱり覚えていないけれど、会話はこんな感じだった。この後の展開が気になるところ。

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ちなみに今日のおやつは、「マリアサンク」でコーヒーと「塩キャラメルのタルト」。塩キャラメル、流行していた時より、今のほうが美味しく感じる。

 

今は眠くはない。そして、もちろん疲労は回復していない。
背後には、本や漫画や画材や文房具など、包装を解かれていない荷物がまとめて置いてある。今日はひたすら「迷ったら買う」モードだった。これは疲労が原因だと推測している。
そうこうしているうちに23時を過ぎた。もう寝る時間だから、また寝る。