チーズケーキと、干瓢のスニッカーズ和えと、祝福と。

昨晩は甥と姪が泊まることになって、ずいぶん賑やかな夜となった。
彼らを見ていると、面白い発言や行動がたくさん観測できる。大人になった時、例えば結婚式の時にでも話すことになったらさぞや楽しいとは思うが(可能ならば、反抗期真っ盛りの時に耳元で伝えたい)、たぶん歳のせいだろう、詳細を覚えていられない。幼さ故の面白い、可愛らしい発言をした、という事だけは記憶しているのだが、十数年後に、昔話として話して聞かせられる自信は全くない。かといって、メモか何かで記録する類のものでもない。
たぶん甥と姪が大人になった頃は、「昔は小さかったねえ。ふがふが」と、にこにこ笑う老人になっていると思う。
そんなに急速に老ける訳は無いと頭ではわかっているが、なんだか自分はあっという間に老爺になりそうな、そんな気がしている。根拠は無い。

 

 

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今日のおやつは、「つきさむ」にて食べた。コーヒーは「アルプスブレンド」で、ケーキは「チーズケーキ」。

僕がそのチーズケーキとコーヒーを楽しんでいるその時に、近くの席からの会話が聞こえた(なにしろ狭い店なのだ)。
「チーズケーキってさあ、チーズの本場のフランスには無いんだよ。日本だけのもの」と言っている。「だから俺は注文しないし食べない、なにしろ本格的じゃないんだから」という感じで、言葉は続く。「要はチーズ文化への冒涜と言っても過言ではないね」とまで言う。

これはとんでもない勘違い野郎と言っても過言ではないね、と僕は思う。
日仏友好協会主催の「カフェで学ぶフランス食文化の夕べ」みたいなイベントに参加している訳ではないのだ。正統派かどうかは関係無く、この店のチーズケーキは非常に美味しく、十分に満足できる水準に達している。それで、何が問題なのだろうか。
例えば、カンピョウがコートジボワール共和国で刻んだスニッカーズと和えて売られていても、僕は全然かまわない。それを「忍者に伝わる伝統食です。日本のヘルシーフードです」と言っていたら「嘘ですね」と指摘するかもしれないが、それはまた別の話。

ところで、本当にフランスではチーズをケーキに使わないのだろうか。チーズを甘くして、焦げるくらいに焼いた菓子を、本で見たことがある。中東か中央アジア辺りから、フレッシュチーズと砂糖を混ぜたデザートが伝わっていても、全然おかしくない。
さらにいうと、フランスだけをチーズの本場とするのも、ちょっと無理がある。
それよりなにより、この店は(明示的にも暗示的にも)フランス料理店を謳っていない。

というわけで、小さな店で薀蓄を語る時は、周囲に気を配らねばならない。それが黒板に書かれたメニューに関するものならば、なおさらのこと。
好きな店でのトラブルは何であれ避けるのが甘党紳士の務めだが、僕だって常に紳士ではないのだ。場合によっては、問答無用で決闘を申し込むし、決闘となれば命のやりとりである(なにしろ静岡県ですから)。
チーズケーキを語るのならば、相応の覚悟が要る。次は無い、と思って欲しい。

 

そんな事を考えながら賞味するチーズケーキは、きちんと美味しかった。どんな時でも、この店のチーズケーキは美味しい。たぶん、神に愛された存在なのだと思う。人の作りしものでありながら人を超えた、新世紀の奇跡。あるいは楽園の果実。書いていてよくわからなくなってきたので、そろそろ寝る。おやすみなさい。

 

 

 

静岡本のある場所 (momo book)

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