BBQとチーズケーキ。

住んでいるところが田舎なので、暖かくなると近所の河原はバーベキューやキャンプで賑わう。僕達の感覚からすると特に綺麗な川ではないが、都市部の人達からすれば中流域の清流に見えるのだろう。
バイパスから近いし、コンビニも揃っているから、手軽なのかもしれない。ゴミ捨てさえきちんとしてくれれば、特に何も言うことはない。鉄板を捨てていくのは勘弁してほしい。
個人的には、もう少し上流に行けば、もっと素晴らしいアウトドア体験が出来るとは思う。

 

先週の週末も、この川にはバーベキューを楽しむ人達が溢れていた。串に差した肉と野菜をグリルで炙る本格的な人達から、タレ付きカルビと焼酎で盛り上がる学生風の人達まで色々なバーベキューを見ることができた。

その中に不行き届き者がいたらしい。橋桁に「BBQ」という落書きがあった。スプレー塗料で描いたらしい。そういえばクラブとかレイヴが好きそうな若者達が夜まで騒いでいたなあ、と思い出す。たぶん彼らの仕業だろう。
しかし何故、と考えてしまう。どうして「BBQ」なのだろう。それほど素晴らしいバーベキューだったのか。ストリートカルチャーの担い手が橋桁に刻みつけるワードが「BBQ」で大丈夫なのだろうか。
あるいはストリートを駆け抜ける若者達だけに通じる略語なのかもしれない。

 

 

「BBQ」といえば高校時代の留学生、オーストラリアからのビート君を思い出す。
夏、部活の暇潰しに屋上で焼き肉をしていた際に「これはジャパニーズスタイルのバーベキュー・パーティー。学生の伝統として、先生に秘密で行う。外で肉食べる、美味しい」と説明したところ、思いっきり馬鹿にされたのだ。
「おいおいカトー、こんなのはバーベキューじゃないぜ。これがコリアンスタイルのヤーキニークーなのは俺でも知ってる。半日かけてじっくり焼き上げるのが正統オーストラリア的バーベキューであり世界標準だ。図書館に行って調べて見ろよ」みたいにまくしたてられた(英語は苦手だが、こういう会話は何故か通じる)。

彼は留学生なのに不良少年で、よく学校をさぼってサーフィンに行っていた。様々な日本的なものに苛立っていたようだったので、僕は率先して日本的なものを紹介していた。今思えば酷いことをしていたと思う。でも反応が面白かったから、「ビート君に日本文化を紹介する」のは止められなかった。サーフィンと、タミヤ模型の工作シリーズと「魁男塾」が好きで、シシャモがどうしても食べられない、そういう男だった。

僕達の「七輪+タレ・塩胡椒」スタイルを馬鹿にはするけれど、彼は日本の「醤油+砂糖」の味、テリヤキとかヤキニクのタレといった味付けが大好きで、文句を言いつつも肉をぱくぱく食べていた。
そして食べながら「オーストラリア的バーベキュー」の話を(いくぶんうっとりしながら)していく。話し出したら止まらなかったので、郷愁もあったのだろう。
その説明を聞いていたら、赤身肉を低温で焼いた世界標準のバーベキューが、ものすごく美味しそうに思えてきたことを、今でも鮮明に覚えている。

そして今も、そのビート君式バーベキューには憧れている。
残念なのが細部を忘れてしまった事と、絶対に必要とされる「冷凍ではないオーストラリアンビーフ」が入手できない事で、でもいつか挑戦してみたいと思う。何度か似たものを作った事があるけれど、なにしろアウトドア好きの友人が少ないこともあって、憧れは憧れのままで終わってしまいそうな予感がする。

 

http://instagram.com/p/oDEb2KmMUk/

全然関係無いが、今日のおやつは「つきさむ」に行って、チーズケーキを食べた。
すっきりとした酸味のチーズケーキ。
美味しいケーキで疲れが癒えるわけではないけれど、週末の素敵なおやつは、人生における給水所のようなものだと思う。週の終わりに食べることができて幸いだった。

 

 

 

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