料理漫画を説明する

今日は、両親と同じくらいの年齢の男性に「『美味しんぼ』とは、どのような漫画であるか」を解説する機会があった。

これがなかなか難しい。
まず彼は「大人が漫画を読む」という事を、知識としてしか把握していない。漫画は「子供が遊びで読むもの。遅くても学生時代とともに卒業する」と捉えている。
加えて「料理漫画」の存在を知らない。この説明がいちばん苦労した。「えーと、食や文化に関するトラブルが発生します。主人公達は豊富な知識と持論を駆使して、例えば美味しい料理を振る舞って誰かの心を解きほぐし、トラブルを解決します。その過程で、作者のメッセージや時事性を絡めるのです」などと解説する。
「なんだかややこしいな」と彼は言う。
「もっと単純に、『料理対決』もあります。美味しい料理を提供したほうが勝ち、という勝負です」
「なるほど御前試合みたいなものか」
「『美味しんぼ』の場合、2つの新聞社の文化事業が『料理対決』をします」
「そんなの現実的じゃないと思うが。ところで『美味しんぼ』ってどういう意味か?」
「わかりません」
といった会話を続けて、どうにか「美味しんぼ」の全体像を把握してもらう。僕は「美味しんぼ」の愛読者ではないから、余計に疲れてしまった。

それから話は逸れて(あるいは繋がって)福島県放射性物質汚染の程度についても解説をした。

全体としてデジャヴのような、かつて何度も経験した感触があって、これは何だと思い出したのが、福島原発事故の格納容器だった。あの悲惨な事故の後、色々なところで色々な人に向けて、あの円筒形とドーナツ型を縦に切った図を描いたのだった。

僕だって原発放射性物質も、それほど詳しくは無い。世間一般の基準からすれば、原発事故の知識を採点したら、偏差値でいえば50以下だと思う。「美味しんぼ」だって同じだ。

でも嘘の無いように、情報を細切れにして、わからないところはわからないままに、丁寧に説明はできる。「全体としては曖昧だが、間違った事は言っていない。少なくとも概算は合っている」程度の自信はある。
これは一種の技術だと思う。親には申し訳なくて言えないけれど「ある事象を概略的に伝える」ことだけが、大学の4年間で(確実に)身についた技術だと思う。

 

美味しんぼといえば、レギュラーメンバー(山岡夫妻や海原雄山)と、ゲストメンバー(農協婦人部の〇〇さん、などの取材で出会った人達)の絵柄が違うのが、昔から気になっていた。いつかゲストメンバーの大学教授が「ところで山岡さん、あなたは我々と違って目が楕円形ですね。黒目の大きさも違う」などと言い出すのではないか。

しかし、先日読んだ別の漫画では、大きな目をした少女が、現実サイズの接眼レンズを覗いて天体観測をしていたから、その辺は「気にしてはならない問題」なのかもしれない。

気になるといえば「少女漫画に出てくる“美術室の石膏像”が、絵柄と合っていない」のも昔から変だと思っていた。しかしこの種の事にこだわり過ぎると心の病を疑われるので、あまり外では言わないことにしている。気になるといっても、実害がある訳ではない。
気にするべきではない、とすら思っている。気にして物語に没入できなかったら、単純に損ではないか。

 

 

 それはともかく、今日はこの本を買った。変な日本が盛りだくさん。

ニンジャスレイヤー (2)~ラスト・ガール・スタンディング (イチ)~ (カドカワコミックス・エース)

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