父が変になった

昨日と今日、父が変だった。
妙に怒りっぽくなり、テレビ画面に文句を言う。いきなり突飛なこと(庭に鳥の巣箱を作る)を言い出すし、とにかく普段の父ではない。

昼間も変だったらしい。先ほど母に聞いたところ、午後いきなり居眠りを始め、しかし手には新聞を広げている状態だったという。
しかし趣味の手打ち蕎麦はきちんと作っていた(夕食に食べた。美味しかった)。

夕食の際には、いつもと同じ量の酒で、べろべろに酔っ払っていた。こんなに酔った父は生まれてはじめて見た、というくらいに“酔っぱらい”だった。
そして昼間の出来事を覚えていない。覚えていない事を、あまり気にしていない。

正直なところ「ついに来たか痴呆症」と少し覚悟した。
これからは介護の日々なのか。気むずかしいタイプの痴呆は正直なところ困る、できれば好々爺タイプに変化して欲しい、とも思った。

 

しかし慌てても仕方がないから、昨日の朝からの行動を分析してみる。母と一緒に「今までと違った事」を探す。
調べてみたら、原因はあっけなく判明した。
たぶん、おそらく、十中八九、花粉症の薬が原因。今日から「ちょっと強い薬」に切り替えたのだ。
インターネット上の情報によると、アレルギーの薬としては2ランクぐらい上らしい。副作用情報に、今日の出来事がぴたりと当てはまる。特に酒は禁忌らしい。
昨日の通院の際に「試しに数日分」と渡された品だった。まあ、旅行や登山やドライブの際に飲まなくて幸いだった。明日からは別の薬に変えてもらう。

その父は、今はぐうぐう寝ている。しかし声をかけると返事をする。
明日は雨で花粉も少ないし、おそらく薬は飲まないだろう。きっと元に戻る。
でもたぶん、生来の“薬嫌い”に拍車がかかってしまうと思う。

 

僕はわりと、薬を飲むことに抵抗が無い。
製薬会社に勤めていたこと、持病の治療で薬を飲む習慣があったこと、それからもちろん性格的なものも原因だろう。
酒もタバコも嗜まないので、薬くらいは良いだろうと思っている。
今のところ非合法な薬には手を出していないけれど、たまに「元気になる薬」が欲しくなる時はある。それから緊張をほぐしたり、後悔して他のことが手につかない時も、それらを帳消しにする薬が欲しい。
そういう時はバウムクーヘンか羊羹を食べることにしている。ドーナツも素晴らしい効き目があるけれど、いずれにしろ非知性的行動と看做される点が悲しいところだ。
ちなみにケーキは別腹なので、感情の状態とは関係無く、いつでも美味しい。

 

ドーナッツをくれる郵便局と消えゆくダイナー (朝日文庫)