自作なめ茸の終焉とコーヒーショップの変節。

 


WECK Tulip Shape ガラスキャニスター 220ml WE-762
全く理由がわからないが、近所のスーパーマーケットでキノコが安い。
折込広告には書かれていないようだ。お店に行くと、青果売り場の入り口に突発的な特売コーナーができている。
普通は使われない大きいビニール袋に、普段見かけない感じの雑な入れ方でキノコがぎゅうぎゅう詰め込まれている。エリンギやシイタケは、小さめのものばかり。規格外品なのかもしれない。
ともかく安いので、買ってみた。


久しぶりに「なめ茸」を自作する。
なぜか今年の春頃に、なめ茸を自作する人達が増えた。インターネット上の様々なサイトでレシピとアレンジ方法が公開され「自作ってこんなに美味しい」という意見が飛び交っていた。
別に作って楽しい部類のお惣菜では無いと思う。えのき茸を甘めの醤油味で煮ただけのシンプルなお惣菜。
作り方自体は、大昔から料理本に掲載されていた。応用料理の起点としての常備菜、あるいは1種類の素材で作る「あと一品」の副菜。僕もかつて作った事がある。
しかし「別に、買えばいいじゃん」という料理でもある。安い瓶詰めが売られている。値段に比例して固形分(えのき茸)が増え、甘みが上品になる。
なんとなく流行に安易に乗るみたいで、最近は(たとえキノコの安売りがあっても)作らないでいた。クックパッド的な浮かれかたは、僕の自意識の望むところではない。
ともあれ、大量にえのき茸を買ってしまったので、久しぶりに作ってみる。オイル煮や干しキノコや、そのまま冷凍保存も可能なえのき茸だが、たまには手をかけてみる。


甘みづけには、瓶詰めのなめ茸(100円)をそのまま使う。既成品を使うと、味が落ち着くというか、無難な味に仕上がる。カレーの味付けにレトルトカレーを使うようなもの。
そこに、父が仕込んだ「かえし」を入れる。趣味の蕎麦打ちの為に作って寝かせてあるもの。良い材料を使っているはずで、大抵の醤油味の品は、これで美味しくなる。
少し酒を足し、切ったえのき茸を放り込んでいく。すぐにかさが減るので、さらに投入する。どれだけ入れても再投入が可能という不思議な状況は、生のえのき茸が無くなるまで続いた。
もう一度スーパーマーケットに走ってえのき茸を補給しようかと考えたが、そういう無茶で良い思いをした経験が無いことを思い出す。それにスーパーの人に顔を覚えられていたら嫌だ(自意識)。
熱いうちに蓋のできる器や瓶に詰めて、粗熱を取ったら完成。冷蔵または冷凍保存する。かなりさっぱりとした味付けになったと思う。保存性は低いかもしれない。
もう二度と作らないような気がしている。やはり今回も「買えばいいじゃん」と思えて仕方がなかった。お取り寄せで800円くらいはしそうな、上品な味にはなったけれど。







美味しいコーヒーって何だ? (CASA BOOKS)

静岡の街にある、お気に入りのコーヒーショップが移転した。少しだけ街の中心側に引っ越した。夜にはバーとしてお酒も出すようになった。
それは別にかまわないのだが、ここ数週間で驚くほどの変化が見られる。
まずメニューが変わった。たくさんあったコーヒーの銘柄が消え、ブレンドアメリカンが主軸となった。「今週のお勧めコーヒー」が無い。
そして食事メニューが増えた。チョコチップクッキーと焼きっぱなしのケーキとホットサンドしか無かったのに、今はドライカレーやサラダもある。先日からは、ランチ営業も始まった。
店の雰囲気も、訪れるたびに変わる。元は愛想の無い、クールなコーヒー専門店的静けさがあった。黒板に書かれたコーヒーの名前と、小さなメニュー。そして窓に面したカウンター。
先日はハイタッチをするストリートボーイが店を占めていた。今日はアフリカ民族楽器の夕べ風で、ライムを絞った外国産瓶ビールを持ってうろうろする人達がたくさんいた。



たぶん以前の「朝から開いている、高品質なコーヒーをさっと飲める静かなコーヒースタンド」から方針転換したのだろう。もうあの店は消えてしまったと悼むしか無い。
何より残念だったのは、アメリカンコーヒーの味が変わったこと。錯覚の可能性もあるが「この店ではアメリカン」と決めていた、その魅力であったさっぱりした味と、たっぷりの量、両方が消えてしまった。
今日飲んだアメリカンコーヒーは、中途半端な量と、たくさん飲むには強すぎる苦味で、注文を間違えたのかと思ったくらいだ。
街を周遊中に「コーヒーだけ飲みたいな」と思ったらとりあえず寄る、便利なお店だったのに。すぐ近くにあったスターバックスより静かで、何倍も美味しい、良いお店だった。
若い、おそらくは都会での経験を積んだ、そしてマニアックで現代的なコーヒーショップの店主は、何処に行ってしまったのだろうか。Facebookを見る限り、まだ店長らしいが。


それにしても、と今もしみじみ思う。ランチメニューに「刺身定食」は酷いじゃないか。味噌汁とご飯と小鉢付きで、なかなか美味しそうだったが、東海岸スタイルの店内には決定的に似合っていなかった。
コーヒーショップに刺身定食はびっくりする(鶏南蛮定食もある)。シナモンドーナツを置いてほしい。
大きなカップで飲むアメリカンコーヒーと、可能ならばシナモンドーナツ、それだけが静岡中心街に足りない。

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