マシーン

 
今日も昨日とは違う職場に出向いて仕事をした。
仕事の内容はさほど変わらない。ただ、一緒に働く人達が違う。
今日の部署の人達は(同じ会社で似たような業務なのに)、ずいぶん荒っぽい。女性ばかりで、朝から元気にふざけあっている。
そしてセクハラめいた事も普通に言う。男性は僕ともう1人だけだが、もう少し気を配ってほしいところ。こういうのを、逆セクハラと言うのだろうか。



単調な作業を連続して行うために、仕事中も雑談をして気を紛らわす事が推奨されている。
その話の内容が、いちいち変だった。「私は使用済み天ぷら油を家の前のドブに捨てる」とか「近所の猫がうるさいので、ヒゲを切ってやった」などと笑いながら話す。
どうせ今日限りの相手なので「へえ、そうですか」程度の相槌をするに留める。それはまずいんじゃないか、と思うが怖いので黙っている。
「タバコの吸殻はサービスエリアの駐車場に灰皿ごと放り出すとよろしい」みたいな凄い話も聞く。
大企業のきちんとした製造部門なのに、そして他の部署はきちんとしているのに、この職場だけ雰囲気が全然違っていた。



午後も雑談をしながら仕事。
僕はぼんやりと手元の作業に集中する。自分からは喋らない。聞かれたら答える。そうして時間が過ぎていく。
いつの間にか、雑談から話がこじれて、やけに険悪な雰囲気になっていた。室内が2派にわかれて、双方が怒っている。
関わりあいになるのは嫌だから、とにかく僕は「仕事マシーンになる」ように努力する。余計な事は考えない。マシーンとして手足を動かす。
しかしもちろん「カトウさんはどう思う?どっちが悪いと思う」などと聞かれる。
「えっすみません全然聞いていませんでした。なにしろ仕事を覚えるので精一杯で」と、とぼけて誤魔化す。
そうやって、定時までなんとか乗り切った。
仕事中はずっと、かばんに入れてあるチョコレートバー(ラムレーズン&ホワイトチョコレート)の事を考えて過ごした。仕事を無事に終えられたら、帰りに食べると心に決めていた。



そうやって耐えた後に食べたチョコレートバーは、とても美味しかった。
ラムレーズンはラムというよりシュガー・シロップだった。ホワイトチョコレートは甘すぎた。でもシンプルな味で、これはこれで良い。
でもかばんにチョコレートバーを忍ばせる習慣は止めておきたい。たまに食べるから美味しいのだと思う。