車輪付き下駄

ハンマー G型 自在 ゴム車25mm

療養中の友人のところに見舞いに行ってきた。
友人が「こんなものが蔵から出てきた。見てくれ」と桐の木箱を開ける。なぜか彼の父親も来た。
中には下駄が一揃い。歯の部分に、キャスターがついている。
「箱書きからして江戸末期」「うむう」「爺さんもこんな品の事は言っていなかった」
などと、親子で唸っている。
よくわからないけれど、観た限りでは「ハンマー印」の普通のゴムキャスターであって、古びてはいるけれど江戸末期は無いだろうと思う。

そういえば、とふと思い出す。
彼の祖父は竹で東京タワーを作ってみたり、ペットボトルで風車を作ったり、それから巨大な瓢箪作りで有名な人だった。人為的に面白い形の野菜(つながったナスや、二股にわかれた大根)も作れる、そんな“ちょっと変な農家のおじいさん”だった。

なにが「うむう」だよ、と思いながらも意見具申する。これはそれほど古い品では無いこと、箱は箱膳のセット用であることなどを説明した。

なるほどなるほどと、友人も友人の父も感心してくれた。
それから「この下駄を貰ってくれないか」と言う。

せっかくなので貰ってきた。そして家の前で滑ってみた。
下駄は派手に割れ、膝をしたたかに打った。今も少し痛い。しかしこの種のミスは、家族には話せない。「車輪付きの下駄がね…」と説明したら、母も父も心配するだろう。だから1人で痛みに耐えている。

まったく酷い目に遭った。
しかしキャスターを付けた下駄は、ローラースケートともローラーブレードとも違う、不思議な浮遊感があった。天狗に半歩ほど近づいた気分になれる。あるいは僕も、年老いたら下駄にキャスターをネジ止めするかもしれない。

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今日はこれを買った。読むと収賄をしたくなる漫画。贈賄より収賄のほうが好きだ。

大砲とスタンプ(3) (モーニングKC)

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