明日の準備は旅の準備

明日は三重県の友人達に会いに行く。
今回は荷物が多い。
手土産ではなくて、書籍をいくつかおすそわけするので。

というわけで今日は今までその準備をしていた。
出張よりも面倒。友人宅に泊まる、ということもあってどうにも荷を減らせない。車で行くからその量に気を遣う必要は無いのだが、それでも歯ブラシなど普段は持ち歩かないものをかばんに入れることになる(昼休み用の携帯式歯ブラシを使用)。

 

 

歯ブラシといえば、今日は市役所で歯ブラシを出してしまったのだった。

いくつか書類手続きが必要で、市役所だから三文判でいいかな、と引き出しにあった印鑑ケースをかばんに放り込んで出かけた。
印鑑ケースも、それから折り畳み式の歯ブラシも、どちらもケースは半透明のポリプロピレン製。無印良品の、あの半透明プラスチックの四角いやつだ。

で、実際にかばんに入れたのが印鑑ケースではなくて歯ブラシだった。幸い、カウンターに出す直前に気づき事なきを得たが、かなり危ういところだった。捺印が不要な申請書類だったこともあり、無事に手続きを進めることができた。

ちなみに手続きは、社会保険に入った後も、国民健康保険を払い続けていた件について。あっという間に払い戻しの処理ができた。無職期間に入った国保を今の勤め先に入った後も継続していたのだった。当たり前だが、自動での切り替えは行われない。

ともあれ寝ます。
明日は早朝出発ではないけれど、しっかり寝たほうが旅は快適なので。

 

あ、全然関係無いですが、今日はカレーを食べました。ナンのお代わりをした時に「ハーフサイズで」と頼んだところ「オーケー!ハーフサイズなら四捨五入でゼロキロカロリー!」と言っていて、インド(ネパール?)の冗談は気が利いていると感心した。でもこの「ナンはゼロカロリー!」はTwitterでわりと出回ったネタだった気がする。研究熱心というか、外国語の冗談をきちんと使えるなんて素晴らしいと思う。

 

仕事のメールを褒められても

勤め先の社長は、他の会社の経営者でもある。
というか自分の仕事はその様々なファミリー会社にサービスや商品を供給することなので、いちばんの商売相手が“ほとんど身内”の人達なのだ。

会社の数は多いが、ぜんぶまとめても人数は少なめ。そして皆が顔見知り*1ということもあって、情報が妙な具合に流れてくる。別の言い方をすると、噂話が聞こえてくる。僕が辞める話なんて、「退職を検討中」の段階で知れ渡っていた。

 

今日はそのファミリー企業の人から、メールを褒めてもらった。
「あなたのメールは素晴らしい。最近、社内で話題になっている。転送され多くの人に読まれている」とのこと。

光栄なことだが、戸惑いも大きい。

今の仕事に就いてから、メールを書く機会は増えた。
人生で最多の“仕事メール”を書いている。業務連絡の7割以上が電子メールかもしれない。

今までホワイトカラーでの仕事経験が少なかったこともあり、自分なりに工夫はしていた。
仕事メールの書き方について本やWebで調べたし、応用もしている。

 

原則として、簡潔さを最優先としている。

例えば冒頭の定番「お世話になっております。」も、理由が無ければ省く。

結論や依頼事項を1.5行程度にまとめ、その後にずらずらっと情報を連ねる。できるだけ短めに。

最後に改めて、そのメールで伝えたいことを書いて、「以上よろしくお願いします」程度で締めくくる。

まあ、よくある「メールの書き方」と同じだ。
変換辞書に頼って難しい漢字を使うと阿呆に見えるので、できるだけ“ひらく”ことも心がけている。

最初は素っ気無さ過ぎているかと不安だったけれど、社外のアドバイザー的な人からも褒められたので、もう覚悟を決めてシンプル路線を貫いている。

 

しかし今日褒められた件は、その「簡素な仕事メール」ではなかった。詳細を聞いてみると、週に何回か提出している「役員に宛てた苦情・要望・状況報告の長文メール」だった。

これはつまり、「極めて素行に問題がある、かつ役員の親族でもある同僚についての苦情・要望・状況報告」のメールだ。


こんなもの、自分でも書きたくはなかった。
基本の構成は上述の「簡素な仕事メール」を基としながら、分量はかなり多い。
それでも、感情的にならず、上司向けの表現を守り、提案や代案を交えて「ちょっとこいつはたまらんですよなんとかしてください」と訴え続けてきたのだ。
特定の役員に宛てたメールも多いが、関連する他社の人達も宛先やCCに加えることもある*2。それらが回覧され、どういうわけか高評価を得ているのだった。

しかしこれ、よくよく考えずとも恥ずかしい。
同僚の行状を(言葉を選びながら)述べているのだ。身内の恥だ。
問題のある同僚」の素行は全社的に知れ渡っているとはいえ*3それに四苦八苦する姿(文章?)まで見られたくはない。
それに、自分としては、ただ感情を理屈の形に練り固めた冗長な文章にしか思えないのだ。大して推敲もしていない。僕だって役員に「MARIATHANKのケーキの良さは…」とか全力で伝えたいし、そのほうが筆が乗るだろう。

kato.hatenadiary.com

 

というわけで、書きたくもない文章を褒められてしまった。
複雑な気分だ。
普段の業務用「簡素を極めた仕事メール」を褒めてもらえたのならば、明日からはニコニコと今以上に素っ気ないメールを量産するのだが。

「どこかで文章の練習をしたのですか?」とも聞かれた。
まさか「はてなブログで!ほとんど毎日!」とは答えられない。この日記、会社の人達や仕事関係者には秘密なのです。

 

 

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

仕事が速い人はどんなメールを書いているのか

 

 

 

 

 

*1:例外は自分の勤め先。地理的にも遠く、かつ新しい会社なので。

*2:経理や在庫管理をファミリー企業に外注しているので情報共有が必要な事もある。

*3:ファミリー企業の、役員の親族だから有名人なのです。というか狭い業界なので企業の枠を超えて知れ渡っている。

魚拓おじさんの日

仕事の関係で訪問した町工場で「魚拓おじさん」に遭遇した。
今日はそれ以外に、日記に書くべきことが無い。だから今日は「魚拓おじさん」の日だ。

物品の受け渡しと世間話が済んで、それじゃあお願いしますと工場を出たところで作業着姿の男性に手招きされた。
駐車場に停めてあるハイエースの前で「ちょっと待っていろ」と言う。

たぶんこの会社の社長だろう、と考え、大人しく待つ。
ハイエースのリアドアを開くと、スライド式のレールを引っ張り出す。そのレールを伝い、沢山の新聞架(ペーパーハンガー?)が出てくる。それぞれのバインダーには、新聞ではなくて和紙が挟まれていた。

 

イワサキ 新聞掛け ラック1段/ハンガー6本 ライトグレー

イワサキ 新聞掛け ラック1段/ハンガー6本 ライトグレー

 

 

強い風でばたつくそれらは全て、黒鯛や鰹の魚拓だった。
ほとんどが墨によるもの、一部はカラーの魚拓。
釣り船屋にあるような驚くほどの大物は無いものの、なにしろ数が多いし種類も豊富。鰆の魚拓なんて初めて見た。

このおじさん(実際には初老の男性)はほとんど説明もなく、自慢もなく、「これはチヌ、大崩れ海岸で釣った」「九州に行った時のハタ」と説明しながら魚拓の束をめくる。

小雨がぱらついてきたので、なるほど面白いものをありがとうございます、とお礼を言ってお別れする。

 

帰社してから別件でその訪問先に電話をする機会があった。
先ほどは魚拓を見せていただいて…と事務の人に伝えたところ、それは「魚拓おじさん」であり「会社とは何の関係もない近所の人」であり「敷地侵入は問題視しているが悪人ではないのでどうか大目に見てやって欲しい」と言われてしまった。
「魚拓おじさん」は釣りの名手であること、そして最近は通院その他の用事が増え、“外部の人”との遭遇事例は減っていること、さらにハイエースは2台所有し、1台は釣り用、そして2台目がこの「魚拓運搬・展開仕様」であると教えていただいた。

 

妖怪じみている。
特に害がなく、でもちょっと不思議なあたりが「ぬらりひょん」的で素晴らしい*1。小さな工場が密集している地域に、完全に馴染んでいる、というところも良いではないか。
「魚拓おじさん」はそのハイエースに据えられたラックの完成度から言って、金属加工や溶接の技術がある人間に違いない。どんな街にも、ちょっと普通ではないガラクタ発明&自己主張おじさんの家はあるけれど、この人は質も量も彼らとは異なる。きちんとした趣味人が、しかしPRの方法だけ常軌を逸しているのだ。

 

自分もいつか、ああなるのだろうか。なりそうな気がする。
特に根拠もなく、しかし自分ならば「何おじさん」になるのかをつい考えてしまう夜である。

 

その先には何が!?じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説

その先には何が!?じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説

 

 

 

*1:ぬらりひょんという、とらえどころのない妖怪を“総大将”に据えた戦後のフィクション、もっと言うと水木しげる氏のセンスと、それを定着させた日本文化は気に入っている。

ビジネスホテルの社長の主張

出張中。
いま東京のアパホテルに泊まっている。
価格と立地から選んだけれど、いつ泊まっても酷いホテルだ。ビジネスホテルとしては小綺麗で便利なのだが、やはりあちこちに配置されている“社長の自意識”が気持ち悪い。

ベッドや書き物机から見える場所にある書籍は背表紙を壁側に動かして見えないようにした。
Wi-Fiのパスワードが載っているという理由だけで電源を入れたTVでも、社長の推奨する本や講演ビデオの案内が映される。

その主張の是非は別にして*1、どうしてビジネスホテルでこんな押し付けに遭わなければならないのか。宿はまず安らぐためにあるという基本を忘れて何がホスピタリティだ。

フロントで貰ったペットボトルの水は冷蔵庫に入れてある。ラベルには社長の顔写真が印刷されているが、こんなものは明日にはゴミになるのでかまわない。

 

動物たちの130年―上野動物園のあゆみ

動物たちの130年―上野動物園のあゆみ

 

 

転職してからもうすぐ1年、自分史上では最も「ビジネスホテル泊」をしている。
どうやら全国チェーンのビジネスホテルは、何かしらの政治・宗教・自己啓発メソッドを押し付ける傾向にあるようだ。ホテルチェーン毎にそれぞれ異なるが、中規模以上のホテルには必ず妙な本が机に置いてあって、パンフレットや機関誌がロビーにあり、「興味がある方はフロントまで」と案内がされている。

たぶんそういう事が可能な規模なのだろう。
もう少し大きいと、株主や何かがその偏りを修正する。
小さい会社はそこまでオーナーの我が儘を許す経済的余裕が無い。

もしかすると、自分と似た境遇の勤め人(経費を節約しつつ泊まりがけの出張をするビジネスパーソン)の琴線に触れるメッセージで、自分はたまたま不満に思っているだけなのかもしれないが。
「ああ、この前泊まった東横インの『内観』も素晴らしかったけれど、アパホテルの田母神先生の本で日本人としての誇りを取り戻すのは格別だ。明日の会議もがんばるぞ!」とか、みんな元気を貰っているのだとしたらどうしよう。

でもまあ、泊まっている時は気分が悪いけれど、宿を出ればすっかり忘れてしまうのも、この種の“押し付け”なのだ。ただ次に泊まる時に「ああそうだった」と後悔するだけ。

 

アパ社長カレー

アパ社長カレー

 

 

 

小さなホテルや観光地の宿にそっと置いてある聖書や仏教本、あれは別にかまわない。机の引き出しに忍ばせている分には全然邪魔ではない*2
以前、ぱらぱらっと聖書をめくっていたら、旧約聖書的に怖い文言にびっしりと赤線が引いてあってちょっとだけ驚いたが、あれはあれで趣きがあって良かった。非日常に深みが増した。

 

さて寝ます。
晩ご飯はお寿司でした。取引先の人が連れていってくれて、緊張したけれど美味しかったので良しとする。
コースでも○○御膳でもない、クラシックな江戸前寿司を東京で食べたのは人生初かもしれない。お値段以上に上等な体験だった。
もりもり食べていたら「朝ごはんにどうぞ」と太巻き寿司と小さな稲荷寿司(握り寿司サイズ)を作ってくれた。有難い。気が利いている。

すし図鑑

すし図鑑

 

 

 

*1:といっても自分はアパホテル社長の唱える雑な国粋主義は反対の立場だ。

*2:当ホテルでは臨界EM電子水素水を使用しております。お風呂からお食事まで云々、とか書かれているとうんざりする。

髪は短し

理由はさっぱりわからないが、夕食後から1.5時間ほど熟睡していた。
自室に戻り少しだけパソコンに向かっていたのだけれど、急に眠くなってベッドに移動して、そのまま寝てしまった。
このまま死んだら困るけれど面倒ではないなあ、なんて不穏な事を考えていたことだけは覚えている。夢も見ず、中途半端な微睡みもせず、本当に死んだような眠りだった。ある種の体調不良を思わせるその意識の落ち込みが、死を連想させたのだろう。

何かの物音でぱちりと目が覚めて、このままでは駄目だとお風呂に入り、そして今に至る。
まだ寝起きの感覚が残る。でも、ぐっすり眠ったからと妙に覚醒して全然寝付けない状況よりは何倍もましだ。
だから髪が乾いたら、すぐに寝る。

たぶん昨晩の夜更かしが悪かったのだろう。

 

めくらやなぎと眠る女

めくらやなぎと眠る女

 

 

髪といえば、昨日は美容院で髪を切ったのだった。
乾きやすくて便利。
自分の場合、諸々の“片付かない”が溜まってきた時は、とにかく次の3つを進める。

  1. 髪や爪を整える
  2. 捨てられるものは捨て、売るものは処分する
  3. 誰かと約束を作る

今回は昨日に「1」と「2」ができた。よく考えてみれば「3」も進行中だ(週末に三重県に遊びに行きます。三重県民、よろしくお願いします)。

部屋はとり散らかったまま、でもまあこれからぼちぼちと手をつけていけば何とかなるだろう。でも今日はもう寝ます。どんな状況でも、寝不足が自分にはいちばん辛いので。

 

 

 

お題「今日の出来事」

本の海に還す

ああ今日も無為に過ごしてしまった、と後悔したのが夕食前。
えいやっと頑張って、先ほどから不要な本を整理している。

ベッド下に3つの引き出しがあって、そのうち2つが本と漫画置き場。
今回はそれを1つにした。
本の置き場所は部屋のあちこちに分散していて、そちらもかなり減らしてみた。

特に文庫本で買っていたシリーズ物の小説はまとめて処分することに。かなり幅をとるので、減量効果は大きい。
完結していないから、Amazon電子書籍で揃えようと価格を見たら全部で8000円くらいかかる。しばらく考えた後、まとめ買いではなくて、読みたくなったら買うことに方針転換した。今までだって新刊の発売前に拾い読みしていただけだから(つまり書棚の肥やし)、急いでぜんぶ揃えることもないのだ。

 

 

でも物理的なサイズ制限が無い電子書籍こそ、「とりあえず、いつか読む日のために買う」ことが容易なのだ。今回は金額にびっくりして躊躇したけれど(いつかセールも行われるだろう、という目論見もある)読みたい本をささっと買うには便利な時代になった。Kindleとその端末やアプリが、現実の書棚同様の一覧性を持つようになったら素晴らしいのだけれど。

 

新版 谷根千ちいさなお店散歩

新版 谷根千ちいさなお店散歩

 

 

今回は、売り払う本とは別に、友人知人に譲る本を分けてある。
引っ越し前提の整理だから「お気に入りの本」も手放すつもりだ。この本はあの人に紹介したなあ、などと考えながら仕分けしている。

本好きの友人は「古本屋に売る」ことを「本の海に還す」と表現する。ゴミにならなければ、いつかまた会える時がくる、そのための古書店なのだと言っていた。
実際に自分も何度か、古本屋で買い直したことがある。だから、いくつかの本はブックオフではなくて街の古書店に売る*1

 

 

そういえば先ほど整理をしていて思い出したのだった。
中学生の頃に、寂れた公園によく漫画が捨てられていた。
ニュータウンの空いた区画に東屋とベンチがある程度の“語らいの広場”みたいな場所。かつては花壇もあったのだろうが今は雑草に覆われている。中途半端な広さと場所で、人はあまり立ち寄らない、そんな公園。

そこのベンチやテーブルに、ちょっとマニアックな漫画本が積まれていることがあった。マニアックといっても「漫画好きな高校生や大学生が買っていそうなコミック」のレベルだけれど、田舎の小学生や中学生にとってはあれが“サブカルっぽいもの”の入り口だった。
コミック以外は海外SF小説や“洋楽”のCDもあった。

今思うと、あの積み本はどこかの漫画好き青年が、捨てるのも買い叩かれるのも嫌で、そして我々子供への影響を目論んで「放流」していたのではないか。

気に入って持ち続けていた本、特に漫画は安く買い叩かれる傾向にある。ブックオフ(田舎なので古書店が無いのです)ならなおさら。ならば、あちこちにばらまいて、その素晴らしさを世間に浸透させたい、そういう思想に陥っても不思議ではない。

 

Blue (Feelコミックス)

Blue (Feelコミックス)

 

 

自分はそういう事はしない。性格的に、不特定多数の誰かにアピールするのが苦手なのだ。でも気持ちとしてはわかる。市立図書館に寄贈するようなものだ。

推測に共感しても仕方がない。
でも「これ、いい本だよなあ。でもゴミ扱いされちゃうんだよなあ。しかし片付けなきゃなあ」という本は確かに存在する。
あの頃は特に不思議とも思わず「なぜかあそこには変な漫画が置いてある。家に持ち帰るような面白い本ではないけれど、なんだかとても変わったものばかり。どこで売っているのだろう?」程度の認識で接していた。
大学生になり大人になり、そういう“ちょっとだけマニアックな本”とは個人経営のカフェ*2で出会うことになるのだが、それはまた別の話。

 

AKIRA 全6巻完結セット(KCデラックス)

AKIRA 全6巻完結セット(KCデラックス)

 

 

 

夕方から今まで頑張って、今日はずいぶんと部屋が片付いた。
これなら、昨日から、いや今朝から手を動かしていれば、あらゆる懸案事項を進めることができたのではないか。
まあいいや、明日は仕事を程々にして夜にがんばろう。数時間でここまでできたのだから、きっと大丈夫。

 

狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方

狭くても、料理が楽しい 台所のつくり方

 

お題「今日の出来事」

 

*1:ブックオフが悪い訳ではないのだけれど、いつか手元に戻ってくる可能性を考えると馴染みの古書店が目的に適う。それに、良い本への値付けもいい。

*2:大友克洋魚喃キリコの漫画や星の王子さま、インディアンの写真集でサブカル風味を醸し出すカフェがあちこちにあった時代でした。

夏の終わりの雨と氷と

毎年この雨の時期にかき氷を食べている気がする。
今日は焼津市の「あおば」で、そういえばこんな風景を去年にも見たな、と思いながら美味しいかき氷を食べた。

https://www.instagram.com/p/BndRIMVg4ku/

 

僕がきちんと説明しなかったので、「氷いちご」ではなくてデフォルトである「氷いちごミルク」が運ばれてきたのは少し残念。しかし練乳の甘味と凍ったいちごの組み合わせも間違いなく美味しい。こういう小さな失敗が自分の殻を破り人生の可動域を拡げるのだ(大袈裟)。

 

氷菓 (角川文庫)

氷菓 (角川文庫)

 

 

せっかくの休日だというのに、通り雨が嫌で街にも行けず、結果として映画はパスして、それじゃあ久しぶりにと行った店はイベントで貸切営業、という残念しょんぼりな午後を過ごしてしまった。

あとしばらくしたら転居なのだから何かしらの準備、それから心残り無いようあちこちを訪れておきたい。が、どうにも力が入らないのだ。困ったことである。

せいぜい明日はがんばろう。
仕事を辞めて、次の職場も内定しているのだけれど、合間に1週間か、できれば10日くらいの休日をもらいたいと思っている。転職すると1年間はまともに休み(有給休暇の類)を取れなくなるなんてことも珍しくないので。そして今、旅行をぼんやりと計画中。ガラパゴス諸島から台湾まで、行きたいところがたくさんあるのだ。

 

 今はこれを読んでいる。
帯に書いてある通り、寝る時に読む本だ。しかし森見登美彦ファン専用ではある。僕はもちろん楽しんでいます。

太陽と乙女

太陽と乙女

 

 

お題「今日のおやつ」

「読み」はできるが「書き」は駄目

前に書いたように、今の勤め先を数ヶ月後には辞める。
職場全体が親会社の元へ引っ越して、引き継ぎを終えたら退職。

辞めるにあたり思うことが無いわけではない。というか今日も仕事をしながら仕事仲間達とそれぞれの“思うところ”を延々と喋っていた。
会社移転が退職のトリガーだから、それを決定した社長や役員には言いたいことがたくさんある。

 

それは別として、社長のことは嫌いではない。
最初は単に「すごい人がいるものだなあ」と感心していたし、1年近く仕事をしてきた今も「様々な問題がある人物だが、そして会社自体は業界標準の域を出ないが、ともあれ立派な人だ」とは思っている。

 


社長はいわゆる「元スーパー営業マン」だから、会話がとても面白い。営業畑から独立した人間というのは話の巧さが武器になる。社長が取引先に語る「ビジョン」は素人の僕にもわかりやすく魅力的だ。
しかし仕事というのは基本的には言葉だけでは完結しない。何かしらの成果が挙がって、関係者が得をして、本当の信頼を得る。
社長は今までこの「ビジョン→成果」を何度も成功させてきた。この成功の元になったのは、ビジョンを示された取引先や仕入れ先の人達の頑張りがあったから。単純に言うと「こんな素敵な話があるんですよ」と持ちかけられ「よし乗った!がんばろう」と様々な会社が無理をして、全員で賭けに買った結果の成功なのだ。社長とその部下達(例えば僕)は御神輿の上で掛け声をかけているだけなのだ。

ところがこの仕組み、成果が出ない場合にはほとんど詐欺になる。
社長の場合、明らかなルール違反はしない。
しかし「勝つためにルール違反以外は何でもやる」という人だと最近気付いた。
仲間を育てる、周囲の意見を容れるなんて悠長な事はしないで、相手を自分のやり方にひたすら誘導する。だから、僕のような素人を雇っても回るような会社が出来上がるのだ。難しい事は他社へ丸投げする。

これがスーパー営業マン出身の社長の悪いところだ。
要は「言葉が巧み過ぎる」のだ。
ビジネスだから上手く行かないことだってある。そういう時に、今まで言葉で踊らされてきた人達、あるいはその下で汗をかく人達からは猛反発を受ける。今まさに、ひとつのプロジェクトが不首尾に終わり、あちこちから怨嗟の声が聞こえてくる。「失敗したから撤退は、まあ理解できる。でも流した血の量が違いすぎるんじゃないの?」と、取引先から遠回しに言われ続けている。「辞める君に言っても仕方無いんだけどさあ」と。
それはビジネスの観点からすれば「甘っちょろい気持ちの問題」ではあるのだけれど、しかし「うまい話」を上手に売り込んだのもまた気持ちを利用したわけで、自分としても「騙されるほうが悪いんや」とは言えない。それを言ったら本当に詐欺になってしまう。

そういう意味では、なんとなく「新興宗教の教祖様の側近」みたいな立ち位置に僕は納まってしまっている。まあそれもあとしばらくの話なのだけれど。

 

改訂新版 ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ)

改訂新版 ロボットは東大に入れるか (よりみちパン! セ)

 

 

 

そんな自分だが、社長にはそれなりに気に入られているようだ。
辞意を伝えた後も様々な言葉(巧みな言葉)と条件で手元に置こうとしてくる。
社長に近しい人達によれば、僕は「お気に入り」なのだという。

こう言っては傲慢に聞こえてしまうかもしれないけれど、社長に気に入られる理由は想像できる。
僕は社長の発する言葉、ビジョン、趣旨、それをかなり正確に読み取ることができる。社長が何か言った後に「つまり、こういう事ですか?」と別の言葉に例えて質問すると、大抵は「その通りだ」と言ってくれる。「例え話が上手い」とまで言われることがある。

しかし残念ながら、僕は社長の言いたいことはわかるが、社長のやりたいことを形にする能力が足りない。
話し相手としては「お気に入り」でも、これでは仕事にならない。
この期待と現実のギャップもまた自分が辞める理由のひとつ*1なのだが、それは別の話。

 

昔から、こういう“対になる”能力の齟齬はあった。
小学生の頃、国語のテストには最初に「漢字の読み」が5問、「漢字の書き」が5問並んでいるのが定番だった。
この「書き」がとても苦手だった。
とにかく読める。もっと言うと、その後の読解問題も得意だった。でも「正しい漢字を書きましょう」の5問は壊滅的だった。だから、95点が自分にとっての「壁」だった。

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
 

 

 

書けば長くなる職場と退職についての話だが、しかし社長には「良い話し相手ができると良いですね」と思う次第である。

なにしろ社長が勧める本の7割くらいは既読だった*2
経験不足の我々に説明する“理想の仕事のやりかた”もすんなり理解して業務に取り入れることができた*3

社長の周囲には、自分より何倍も仕事ができる人達もたくさんいる。でも、仕事ができる人間は原理的にコントロールがし辛い。
僕のように何もわかっていない、しかし言葉だけが通じる人間は貴重だったのかもしれない。

そういう意味では「辞めてごめんなさい」と心の中では何度も謝っている。
もちろん僕への高評価も一種の営業トークだとは思うのだけれど、それでも何割かは本心だろうと推測するので。
自分だって、本や知識の共有ができれば嬉しいと思うから。友達にはなれないけれど、話が通じる間柄は確かに財産だ。

 

 

NO BOOK NO LIFE -Editor's Selection- 編集者22人が本気で選んだ166冊の本

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お題「お祭り」

お題「どうしても言いたい!」

 

*1:簡単に言うと、よき理解者としてほいほいと話を聞いていたら、忙しくて身が持たないのです。

*2:学生時代に理工学系の勉強をして、その後も何かしらサイエンスに興味を持っていた自分と、移動中にノンフィクションを読む元SF青年の社長は、読む本が被るのだ。

*3:これは社長よりも同僚達に驚かれた。社長は業務改善による効率化が大好きで、工場勤めが長かった自分にとってはそれは日常だったので、ある意味で得意分野だったのだ。ビジネス書なんて読んだ事は無かったのだけれど、事務員さんの生産性向上も製造ラインのそれも似たようなものだ。

暇じゃなかったひとり勤務

同僚達が出張や休暇で不在、上司もいない、そんな勤務日だった。
なにしろ移転が決まっているから通常業務は減る一方で、その会社移転についても今のところ手をつけられる仕事が少なく、今日明日はとりあえず暇なはずだった。

だから今日は、「はんぶん仕事、はんぶん趣味」な業務を進めるつもりでいた*1。休憩時間には家のiMacを遠隔操作できるように設定もしてあって、思う存分ひとり勤務を楽しむ準備ができていた。

しかし今日はもう、めちゃくちゃに忙しかった。
同僚達がいれば普通に進む仕事ばかり。でも、1人でいくつかのタスクをこなしていると、計画通りに仕事なんてできない。まして「はんぶん趣味」な業務なんて進まない。

こういう時に限って機械が壊れる。
複合機の調子が悪くなり、メーカー推奨範囲を超えた分解清掃を行ってしまった。それで上手く行ったから良かったものの、壊れていたら自分も「今日はこれでおしまい!定時まで掃除してお茶飲んでる!」と開き直っていただろう。

いや本当に想定外の事ばかり発生した1日だった。
まるで関係者全員が僕を監視していて、最適なタイミングで問い合わせ電話や報告や郵送依頼をしているみたいな絶妙な忙しさだった。ほっとした瞬間に次の電話がかかってきて、手が空いて片付けを始めた直後に即返信が必要なメールが届く。

こういう日もある。
しかも北海道では大震災だ。朝からずっとざわざわしている。
今日は早く眠れるだろうか。疲れてはいるのだけれど。

 

その先には何が!?じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説

その先には何が!?じわじわ気になる(ほぼ)100字の小説

 

 

お題「今日の出来事」

*1:サボるつもりはないけれど、自分のためにもなる仕事を優先したい今日この頃。なにしろ引き継ぎが終わったら退職するので。

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